世界一周09-3 スイス・リヒテン・オーストリア 中世の世界を追う

●アルプスの古城たち
●自転車と冒険教育先進国
●日本のツアー観光客が見たものは・・・

スイス
通貨1SF=70円 ・ガソリン109円 ・パスタ500g 88円
・米1kg 109円  ・コカコーラ1缶 175円
・パスタソース400g瓶 284円 ・コピー1枚 7円

※スイスでは、金を使わぬまま通過したので、これらの価格はスーパーに入って調べた参考価格である。全般的にかなり高い。

アルプスの古城たち

7/3の朝にミラノを出発したその日の夕方、スイスへ入国した。
ここではパスポートチェックを受けた。

2300mのアルプスの峠を越えるが、それは「アルプスの少女ハイジ」そのものの牧場の風景が広がる。ウオー、本当にスイスに来たんだー!

だがしばらく走ると、なぜか車が渋滞していて、みんな全員エンジンを切っている。先頭にはパトカーが止まっている。

「何だろうか?」

しかたがないから、アルプスを眺めながら待ってみる。日本と違ってアイドリングしている車が一台もないので静かだし、近くのせせらぎもきれいで冷たくて、正真正銘のアルプスのさわやかさだった。

20分ぐらいすると、「カランコロン」とアルプスの牛の群れが移動していった。

それだけのために警察が車を停めさせるとは平和な永世中立国のスイスらしい話だが、同時に少し堅苦しさも感じたのも事実。もうここは全てが混沌とした、カオスに満ちたアジアではないのだ。

道に残った牛の糞を避けながら、標高1700mの町、サンモリッツに着いた。けっこう暑かったミラノと違って、人々はみなジャンパーを着て寒々しい。

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さらに山をくだり、無人駅の軒下で野宿した。昨日のミラノの熱狂がここではウソのように静かだった。

翌朝7/4。朝起きて片付けていると、地元の女性から英語で「ここは寝るところではありません」と言われた。
やかましい!と心の中で叫んだが、スイスはよそ者にとってはどこか肩身の狭さを感じる。

小型バイクなのでサイクリング用の森の小道を走りつないで、小国リヒテンシュタインに寄った。通貨や言葉はスイスのものだが、さしずめスイスの一州という感じか。イタリアの中のサンマリノと似たようなものか。

この国は金融立国なので首都ファドーツのメインストリートは、それらのオフィスと観光的な土産店とが交互に混じっている。

スイスからリヒテンはフリーパスだが、リヒテンからオーストリアに入国するとパスポートのチェックを受ける。雨の降る中15時にオーストリア入国。この2日間で4カ国も入った。その翌日7/5はオーストリアからドイツへと入国した。

物価の高いスイスでは一銭も使わずに通過したが、このオーストリアやドイツはスーパーに入ると食料品が驚くほど安い。しかも人々もスイスと違って好意的だった。

ドイツ南部とオーストリア西部のチロル地方は、アルプスの景色や古城、城跡がきれい。毎日走ってばかりだったので、このあたりで何日か滞在した。

オーストラリア・インスブルックの街

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ドイツとオーストリアの国境もトンネルを通るだけで、フリーパス。自由に行き来できるから自分の財布にはドイツとオーストリア両国のお金が入っていた。

ディズニーランドのモデルにもなるほど有名な南ドイツのノイシュバンシュタイン城を眺めたり(中は観光客ばっかなので)
それとは対照的なチロルの古城址のエレンブルク廃墟は、いかにも甲冑に身をまとった中世の騎士が出てきそうな気分で登ったりした。

RPGの世界にどっぷりつかった自分としては、こんな中世ヨーロッパの風景や面影を味わうことが、長年のあこがれでもあった。

誰も来ない薪置場から見おろすアルプスの村は、子供の頃から思いをはせたメルヘンチックな風景で、それを見ながらハム野菜サンドを作って食事をしていると、夢が本物になった。

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この景色は自分だけのもの!
ひとり夜までずーっとロマンチックな景色を見おろし、そのまま薪置場で野宿したほどだった。

「この景色を見るために、ここまで走ってきたのだ!」

こうして、イマジネーションを働かせて、思う存分中世的な世界を楽しんだのだった。

資料館?に入る。個人的には、どこか70年代のようななつかしさを感じた。

真ん中にある黒いジュークボックスから

「ジ、ジ、ジーンギスカーン」とディスコソングが流れそうな雰囲気

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しかしアルプスの気候は変わりやすく、7/7の15:50ごろ、行く先には黒い不気味な雲が。

「む、いかん!」
すぐに安全地帯をさがした。町民プールのある体育館の軒下を見つけて避難した。

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そしてすぐに黒雲からなんと1~2cmぐらいの小石のような雹が降ってきた。
すぐさま身をかがめる。頭はヘルメットをかぶったままなので平気なのだが、肩などにバシバシ当たって
「ゥヒョウ!」
と叫ばずにはいられない位に痛かった。

アルプスを越えたスイスからは、アルプス山脈のため天気も不安定で雨がよく降る。イタリアまでの南欧ラテン世界と違って、夏は雨降って寒いし、食べ物も、民族性も全く異なる。

アルプスを越えたら、ラテンとゲルマンの違いがはっきりわかるのだ。

それでも、オーストリアの場合はゲルマン民族でありながらラテンのカトリックの教えが多数占めるので、欧州の中でも労働時間がもっとも短く(週32時間程度)スイスやドイツに比べれば人生を楽しむ事に重点を置いてるようだった。

自転車と冒険教育先進国

南ドイツのフュッセンからローテンブルグまでの、ロマンチック街道を走る。

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ここは日本人もお得意さんの観光ルートで、道路標識にも「ロマンチック街道」と日本語で描かれているほど。

だけど日本語の読めないドイツ人が付けてるので、時たまその日本語の標識がひっくり返って上下逆に取り付けてあったりで、勤勉で律儀なドイツらしからぬ失敗が大いに笑える。

ドナウ川の町で、カラフルにペイントされた家々を見ながら、カフェの屋外のテーブルにてコーヒーとカツサンドのセット(6DM 350円)でぜいたくをする。

ヨーロッパの旅は極貧の旅だったので、こんな優雅なぜいたくですら、中々できなかった

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日曜日だけあってサイクリングしている人が多い。ドイツやオランダ、デンマークなどはサイクリング王国。自転車の後ろに幌付きの小さなリヤカーをつけて、そこに子供を乗せて毎日の買い物をしている。それを見て、あらためて文化の違いというものを感じた。

日本では荷台などに子供を乗せたりする「ママチャリスタイル」だが、ドイツにいるとそのママチャリスタイルがまるでアジア風に見えてしまう。

そして、小学生の少年少女がリーダー格の大人に引き連れて、各自の自転車にはキャンプ用品をつんで、みんなで何泊かのサイクリングをしていた。

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または、中学生ぐらいの少年が私のバイクのように、自転車に山のようなキャンプ用品をつんでなんと一人旅をしていた。

アジアでも、南米でもアフリカでも世界のあちこちでドイツナンバーの車やツーリングバイク&自転車が走っているが、やはりドイツ人の旅好き、特に一人旅や冒険好きは、子供の頃から養われているのだ。まさに冒険教育先進国だった。

(インドのタージマハルでも、普通のインドの自転車でインド中を旅しているインド人グループを見かけたが・・・)

日本のツアー観光客が見たものは・・・

城壁に囲まれた中世の町、ローテンブルグにやってきた。
日本人がドッカンドッカンやってくる。

ドイツの小中学生チャリダーとは打って変わって、ほとんどが日本からのツアー団体客。同じ日本人と言えど、インドのように汚くてむさくるしいクセのあるバックパッカーはいないし、かといって渋谷系の金パツガングロのギャルってるねえちゃんもいないから、妙に安心した。

そのツアー客は、おばさんが半分と、お嬢様ふうの女子大生やOLなどで占められていた。
20:50分になると、日本人客がぞろぞろと町の中心の時計塔広場に集まる。9時前とはいえ、空はまだ明るい。
これだけたくさんの日本人を見るのは日本出発以来だった。ハウステンボスにいるのと変わらない気がした

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21:00になると、しかけ時計の人形が動き出すのをみんなじっと見つめるのだが、人形がちょこちょこ動く程度で、すぐ終わってしまう。

「たったこれだけ~?つまんない」
「もう終ったの~?」
「ディズニーランドのほうがすごいのに」

と、みんなガッカリして帰っていく。このしかけ時計はぜんぜんたいしたことがないので日本人以外の観光客はぜんぜんやってこないのだ。やはり日本人は期待しすぎていた。日本のツアー会社におだてられたのかもしれない。

だから時計塔よりも、このガッカリした日本人観光客を見てるほうが、はるかにおもしろかった.

その翌日、ローテンブルグの中世の城壁の下、野外料理をした。

スーパーに入ると何でも安く、ビールの国だけあって500mlでたったの29えんだったので、赤貧ど根性ツーリングの真っ只中なのに関わらず、思わず買ってしまう。

その日はチキンステーキを焼き、飯を炊き、インドの教会以来のビールで、中世に乾杯。

毎日厳しい野宿と自炊の赤貧ツーリングなので、中世の気分に浸りながらひさびさに充実した食事ができたのだった。

–第9章–
おわり

★次号の予告★

次はヨーロッパ編、後編!

ついに恐れていたマシントラブル発生!
ホームレス状態になりながらも
はたして無事ロンドンにたどり着けるのか!

お楽しみに!

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