世界一周17-3 エクアドル編1 インディヘナと21世紀の通信革命

第17章 エクアドル編
(~2001年2月17日)
●インディヘナの怒り
●物価安王国の通信革命
●モトショップ・モトゾーン

エクアドル
通貨US$(現在エクアドルでは自国通貨スクレを廃止・米ドルが使われている)
・ガソリン$0.26  ・宿 $3~   ・I’NET $1.00/h

定食:スープ、チキン、ポテト、ライス、サラダ、コーラ $0.90~

・Tallalin
(超大盛おすすめ。中華あんかけそばで、日本でいうラーメンや餃子のようにエクアド
ルの定番中華。$1.70あれば海老や肉がたくさん入った贅沢なあんかけそばが出
る。滞在中は毎日食す。

※南米の中華料理屋は、箸ではなくナイフとフォークが出てくるのが一般的。
日本人にとって中華をナイフとフォークで食べるのは変な感じだが、華僑の
経営している店でも箸の用意されている店は意外に少ない。

・Guatita(日本風カレーライス。海を越えたエクアドルで味わえるなつかしの味。屋台
の立ち食いが主だが、ゆで卵が付いていて、なお良かった。$0.60~

※エクアドルは、ガス、宿、食べ物なんでも安い!コストパフォーマンス世界一!



インディヘナの怒り

エクアドルに入国した途端、乾燥したペルーとは違って緑が多くなる。それは道路沿いに広がる米国大手企業の契約バナナ畑が果てしなく広がるからだ。
小学校の社会科教科書に出てきたような風景。

エクアドル最大の都市・グアヤキル。リマでも見られなかった高層ビル群もあれば、海辺には古い植民地建築もありで、まるでインドのボンベイのようだった。

町外れの港に行くと、バナナ運搬のコンテナがまたずらりと並ぶ。さっきのバナナ畑といい、グアヤキル港といい、日本で我々が食べるバナナもこうやって日本に送られて、スーパーや食卓に並ぶのである。

グアヤキルを去り、夜は山のふもとのラブホテルに一人で泊まる。
山のふもとにラブホ、というロケーションが、日本もエクアドルも同じなんだな。

ピンク色の壁の室内にはTVとクーラー、シャワーとビデだけの質素な部屋だが、実にきれいで、それでたったの一泊4ドルだった!

翌朝ラブホを出発し、パンアメリカンハイウェイでキトへ。といっても山道である。後で知ったことだが、この山岳地帯は外務省危険情報で危険度3(家族等退避勧告)となっていた。しかしこのあたりを通らずには進めない。進むしかない。

そして、道路にはなんと巨大な丸太が何本も横倒しになっていて先に進めないではないか!これは人為的なのは明らかである。

原住民・インディヘナによるバリケードストライキだった。彼らは歩きや自転車だから通れるが、よそ者の車やバイクはとおすわけにはいかん、という文明社会に対する挑戦とも受け取れた。

ばかでかい丸太の前ではなすすべもなく立ち往生したのだが、結局「張本人」であるインディヘナの村人に担ぎ上げてもらった。

はっきりいって私はこの迷惑きまわりない通行妨害に心の中で怒っていたが、彼らだって怒っているからこそあえてこんなことをしているのだ。何に対して怒っているかは知らないけど。すごく複雑な気分だった。

やっとの思いで丸太バリストを攻略したと思ったら、今度は途中の村で道路上にタイヤなどを盛大に燃やしてデモをしていた。

彼らを刺激させないように冷静にすり抜ける。相手もデモ中だから下手に虫の居所が悪いと何されるかわからない。通過するのも冷や汗モノで、またも命がけであった。

そんな思いでやっと首都のキトへ到着。もし車やバスとかだったらキトにはたどり着けなかったろう。

グアヤキルとは対照的な標高2800mの高山都市、キトは南米の近代都市とあって最新のショッピングモールにはブエノスアイレス以来のタワーレコードまであったほど。街中にはネットカフェもあちこちにあってしかも安い。

たしかに山に暮らすインディヘナが怒るのも無理がないかもしれない。

エクアドルも近代化の波が急激に押し寄せている。この国では金さえあればショッピングセンターだのインターネットだのと先進国と同じ生活ができるし、私のように貧乏ツーリストとは名ばかりの小金のある旅行者は、物価が非常に安いので日本以上に豊かな生活ができる。

しかし大半の国民は貧しく、特に先住民は未だに原始的な生活をしており、貧富の差が激しく、格差は広がるばかりである。ハイテク生活している都会人と、近代化から取り残された山岳民族。ひずみが生じるのも当然であろう。

だけど道路封鎖などで足を引っ張り合っては、結果的には国自体がいつまでたっても貧しいままにしかならないと思うんだけど、どうなんだろう、といろいろ考えさせられもした。

日本のように一つにまとまれない国なので、大変な国だと思わされた。

物価安王国の通信革命

キトではジェベル125の修理をするため、長逗留したのだが、結局ズルズルと25泊もいてしまった。その最大の理由として、ホテル代の安さ。

ずっと泊まりっぱなしだった「Margarita2」というレジデンシアル(安いホテル)は、TV、シャワーつきとビジネスホテル並みで、しかも毎日ベッドメーキング付きで一泊たったの3ドル!!

あまりに信じられない安さゆえ、本当は2ヶ月や3ヶ月、いや半年ぐらい時間の許す限りドロドロになるまで沈没したかった。それだけコストパフォーマンスが世界一なのだ。

ガソリンも安かった。1ガロンで1ドルだった。アルゼンチンなんか1リットルで1ドルだったから、同じ南米でも4倍近い格差があるのだ。

そして町の随所にあるインターネットカフェは1時間1ドル。しかも備え付けのカメラで撮った映像や音声をEメールで送ることができて、自由にそういうことができるあたり、よけいな法的規制が無い分、なんか日本以上に進んでいる気がした。

10秒のビデオ映像(容量630KB)を、ネットを始めたばかりの日本の両親へと送った。
ダイヤルアップなので送信するのに2分か4分はかかったが、それでも40セントで送れたのでびっくり。

ブロ-ドバンドが普及し、現在こそビデオ動画ファイルなんて当たり前だが、あの時、日本の家に届いたその動画ファイルがあまりに重くて開けられなかったらしい。630kbといえば、当時のメールアカウント容量の大半を占めるわけだし、そしてPCのスペックにしても画像を再生するだけでフリーズしてしまうのだ。

そしてインターネット電話。奥の部屋で気軽に掛けられる。
ネットの電波を使うのだがダイヤルアップなので日本へかけると雑音もひどく、日本の携帯電話にかけようものなら全然聞こえなかった。

だが驚いたのは通話料の安さ!日本や欧米にかけると一分たったの22セント!
しかも、なぜか隣国のペルーやコロンビアにかけるよりも安い(半分か3分の一の値段)!

考えてみれば日本国内で10m離れた隣の家より、15000km離れた日本にかけるほうが安いと言うのは、なんともクレージーだ!

エクアドルは思った以上にIT化が進んでおり、まさに通信革命だ。
コレクトコールが1分1000円もかかった大手電話会社なんかそのうち経営が成り立たなくなると思う。

こうしてキトではネットにふけたわけだが、キトに着いたその日にアスンシオンの社長からのメールが届いたので、読んでみると電装トラブルの原因はレクチュファイヤー(整電装置)か、ステータコイル(発電コイル)が原因とわかり、早速注文することにした。

モトショップ モトゾーン

しかし、キトに滞在した当初はペルーまでとは勝手が違い、いらつく毎日だった。バイク屋で注文して、マニャーナ(明日)と言われて、期待して律儀に明日その店に戻っても、用意も注文も全く何もされていなかった。
たらいまわしにされた店はどこも本当にいい加減で、スペイン語がわからないので修理も難渋を極めた。

そして一週間後、一からやり直しで今度は7km南に離れた南区のバイク店「MotoZone」に行った。店には中年の店主と若奥様の二人がいた。しかも英語が通じるではないか!これで一気に目の前が明るくなった気分。

ところで、この二人は最初夫婦だと思っていたが、彼らはなんと父娘だったのだ。
しかも彼女はまだ15歳!そんな彼女をてっきり「奥さん」だと思っていた自分は本当に超失礼。

彼女の名前はガブリエラ・サロメ・サントス。通称ガビィ(Gaby)。彼女はバイリンガルスクールで午前は英語、午後は仏語を学んでいるだけあって、英語の発音がネイティブ並み。
だけどラテン人らしからぬシャイな女の子だった。

Gabyはその日は店の手伝いで来ていたのだが、早速パーツを注文してくれた。
レクチュファイヤーの純正品はエクアドルでは入手できないので、USAから取り寄せるのだが、彼女は自前のノートパソコンを使って、USAのパーツ会社に注文のメールを送っている姿は、もはや15歳とは思えない風格ある仕事振りだ。

パーツ注文とはいえ、世界をまたに架けた国際的な仕事をしているのには変わりがない
ので、そんな彼女がとても凛々しくカッコよく見えた。

Gabyは私と同じくホットメールのアカウントを持っており、それでプライベートからそのビジネスまでこなしていたのだった。

一方、ガレージでは何人か働いていて、Gabyと同じ位の少年がいた。しかし少年は彼女とは対照的に油で汚れたぼろぼろの身なりをしており、店主に
「マエストロ、パーツを持って来ました」
といっている姿を見ると、やはり貧富と階級の差というエクアドル、そしてラテンアメリカの現実を見せ付けられてしまう。

少年は店主に対してマエストロ(Maestro)と呼んでいたが、直訳すればマスター、店長の意味。マスターカードが国によってはマエストロなんて呼ばれているのと、同じ原理かもしれない。
日本や欧米でも「巨匠」と言う敬意を表す意味合いでマエストロという言葉が使われ始めている。

この「MotoZone」のマエストロは、店主でもあり、マスターでもあり、人間的に巨匠でもあった。物腰柔らかいマエストロと一緒に食事に行ったりした。

彼は1993年に一週間来日したことがあった。
「見ての通り、この国にはいいバイクが無いからわざわざ日本に行って中古バイクを輸入してきたのだ」

マエストロは娘のガビィよりは英語はうまくない。私と同じぐらいの英語力だが、スペイン語のまるで通じない日本で単身、不自由な英語だけを使って単車の取引をしに行ったのだから、本当にマエストロたる勇気ある人だった。

A「いやー、単身日本へよくいきましたね。」
M「きみだって言葉の壁を越えてモト(バイク)でここまで来たんだから、それと同じことだよ」
A「日本の印象はどうでしたか?」
M「新幹線はすごく速かったさ。だけど金が無いからスープスパゲティを食べていたよ」
・・と、マエストロは笑っていたが、彼の言うスープスパゲティとは、立ち食いうどんのことだと思われる。
M「ナゴヤの方でモーターサイクルの取引をしに行ったんだけど、日本人ってみんな英語話せるんだよね。だけどスモーカーが多いからどこへ行ってもヤニ臭かったのがいやだったなあ」
A「ぼくもあのヤニ臭いのはいやです。だけど英語の話せる日本人はだいたい10%ぐらいらしく、残りは話せないんですよ。日本人は全員学校で6年~10年勉強しているのに関わらず。」

と、そんな話で盛り上がった。ここで気が付いたのが、日本人は英語が話せない、と思っている日本人が圧倒的に多いが、外国人から見れば日本人は英語が話せるのだ。

ようするに、英語のミスや恥を恐れてしまう、完璧な文法で話さなくては、と思い込む国民性ゆえに自分は話せないと決め付けてしまう。
失敗を恐れず、ヘタクソでもいいから英語を話す姿勢を見せれば、日本人だって英語はちゃんと話せるのだ。

そして、マエストロの家族とテニスをしようという話になった。

「よし、それじゃあ日曜日にテニスをしよう!きみも来るかね?」
「もちろんですよ!ぜひ行きましょう!」

-第17章-
おわり

★次号の予告★
南米ファイナル!
ザ・いろんなエクアドル!!
そして跳梁跋扈のコロンビア!

お楽しみに!

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