私の黒歴史 ~就職先は悪徳キャッチセールス(4)ハリウッドのように~

「オフィスに戻ったら、ただちに支店長のところに来て下さい」

ただならぬコールを受け、オフィスに戻り、応接室にいくと、支店長がいた。

全く何もない応接室。扉を閉めると、密室になる。

他の仲間は、別の部屋で電話セールスに没頭している。


支店長は、朝礼の時とは180度変わり、

怒りの表情と、私やほかの仲間と同様に疲れきった表情をしていた

「入社してから何日も経つのに、まだ契約どころかアポイントすら取れないのか?

いったい毎日、何をやってるんだ?

このままだとここで働くのは難しいぞ」

・・・・・・・やっぱりそうか。

どんなに毎日心身をすり減らしてセールスしても、アポすらとれないのだから、もうしょうがない。
これはクビだな、と思った。

それにしても、朝から夜遅くまで働かせておきながら、交通費など何も一切手当てがないのは、どういうことだよ?

ただやりがいをタネに、みんな搾取されてるだけじゃないのか?

そう思い、

「せめて定期代や交通費はくれないんですか?」と言った途端、

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支店長は突然

「何を言ってるんだ!!おまえの考えはずれている!!!」

と激昂しだした。

なんだこいつ!?人をさんざんこきつかっておいて会社は一円も金も出さず、

しかも考えがずれてるだと?

どっちがずれてんだよ。

人を騙して高額商品を売りつける阿漕な仕事してるから、心がどんどん腐っていくのだろう。

こいつら、腐りに腐りきっている!

元・学生アメフト選手なので仁王のようないでたちの上に、鬼のような激怒。気弱な人は圧倒されて土下座するかもしれない。

だが「正論」を言うと、議論の余地を挟まず反射的に恫喝するとは、さすが悪徳企業。

なので不満のある私はすかさず反論した。

てゆうかもうどうせ今日で最後だから、この場で不満を大爆発させて大暴れしたろうかと思ったが、

激昂が終わると支店長は

「・・・・・・まあいい、この仕事には向き不向きもあるからな」

と静かに話し、

そして、最後には、

「次の職場では是非がんばってくれ」

と、まるでハリウッド映画のような固い握手をされて、

私は職場を後にした。


日々重なる疲労困憊と、

この最後の出来事で、

精魂ともに完全に朽ち果て、燃えカスになった状態で、

最後の帰りの電車に乗り込んだ。

電車の中で思ったのは、
希望を絶たれた思いと、若干のさびしさの後、

「明日から寝放題だ~」
「やっとこれで毎日12時間労働しなくて済むぞ~」

という、じわじわとやってくる「喜び」だった

そして、自分が気づかないうちに受けていた「洗脳」も解けていった。


それから2ヶ月ぐらいたったある日。

あのときの同期たちはみんなどうしてるのだろう?

ふと思い、そのうちの一人・英会話教材の伝道師ともいえるアンジェラアキ似のNY帰りの才女、A子に

「近頃どうしてるの?」と電話したところ

「あの時は契約がふるわなかったけど、その後契約がいくらか取れて、新しい事務所ではマネージャーとして一気に出世した」

とのこと。

しかしやはり極悪詐欺企業の宿命なのか、2ヶ月も経たぬうちに旧事務所は畳み、事務所の住所も社名も変えて運営しているという。

だからいつでも逃げられるよう、電話しかないような殺風景なオフィスだったのか!

今後もジプシーのようにさまよい、そしてhypocrite(偽善者)のように悪を続けているのか。

しかしA子と話してるうちに、おかしくなっていく。

「そんなことよりあきら(私の名)は何で〇〇(英会話教材)をつかわないの?

〇〇は英語力を伸ばすにはとてもすばらしいのよ!あきらはまた世界で活躍したいんでしょ!?

世界で活躍するなら、英語は必須なんだよ!欲しくなったらまたいつでも来てよ!

私はね、あきらの将来のためを思って言ってるのよ!!

はああ、すっかり完全に洗脳されとるなあ・・・・・

もう、一緒にキャッチセールスをしていた「仲間」ではなくなった。「獲物を狙う女」に変わってしまった。

もう、ミイラ取りはミイラになりたくない。

それ以来、A子に電話はかけることはなかった。


結局、キャッチセールスで2週間ぐらい働いても一円の収入にならなかったどころか、

一か月分の定期代を無駄にした。

だけど、こんな悪徳企業に魂を売って、がむしゃらに強引に契約を取り付けていたら、その分だけ契約者を不幸にしてきた筈。

もちろん相手が金持ちや資産家とかでありあまるぐらいのお金があれば別だが、使い捨てである末端の新人が金持ちと結びつける可能性は極めて低い。

それ以降、同期の女の子やキャッチセールスでつかまえた女の子と会話を楽しめればいいや、ぐらいのマイペースでやってきたが、結果的にはそれが正解だった。

せめてものおこぼれとして、同期の子やキャッチで親しくなった一般の女性をもっと口説いておけばよかったな、と今になって思う。

それでも思い出したくない文字通りの「黒歴史」だが、わずかな収穫として、多少の営業のやり方や、悪徳商法の内部とシステムを知る事が出来た。「社会悪とはこういうものなのだ」というのを体を持って思い知らされた。

これはある意味、キレイゴトだけでなく、汚いものを知るという事は、今後自分で正しく事業したり、たびいちドットコムを運営する上で、反面教師として役に立っているのかもしれない。

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