夕方の18時半でも気温41度という地獄の暑さ。大量の死者が出るほどの熱波が続く北インドの都市・ラクナウ。
カーンプル・ロードに入ると、申し分ない都市高速が空港まで続く。ネパールとインドは、田舎だと同じぐらいだけど、インドの都会になると断然ちがう。カトマンズよりもインドの地方都市ラクナウのほうが非常に近代的だ。
だいぶすずしくなったので走り続けようと思ったが、このままだと22時を過ぎるし、目もしょぼしょぼして、とても無理。ラクナウの近郊の安いホテルに泊まることに。
もう21時を過ぎているのに外は36℃もある。しかし部屋に入ると、思いのほかすずしい。といっても室温は33℃。それでもすずしく感じるぐらいだから慣れとは恐ろしい
そんな極限の環境ですら生きているのだから、これなら-40℃以下の凍り狂うような極寒の世界でも旅できそうだ。
とにかく空腹で仕方ないので、近くの食堂でベジタリアンターリー 50ルピーを注文。
普段は食べる気がしないベジターリーだが、このときは空腹もあってかとても旨く感じた。
ハングリーイズザベストソース。空腹は最高の調味料だった
ラクナウの宿で朝を迎える。9時起床。
昨日はモロに暑さにやられたのか二日酔いのように頭少し痛い。
それでもエアコンもない部屋なのに、部屋はすずしい。室温31度。
しかし一歩外へ出ると、怒りの太陽と、狂ったような殺人的な暑さが待ちかまえていて、出発する気がしなくなる。
今回の旅は、もう日程に余裕がない。バラナシやカジュラホにも寄りたかったがそれすらもかなわなかったぐらいなので、できるだけ進みたいところ。なのでとりあえずチェックアウトしたものの、シーク教の家族に呼び止められ、外は暑いから中ですずみなさいといわれる
この暑さじゃ危険なので、その言葉に遠慮せず大いに甘えまくって、エアコンの効いた部屋でまったりしてから、結局15時半ごろ出発。
気温も下がり、元気一杯なので、夜中まで走ることにする。
カーンプルの街中は渋滞だらけだったが、街中を抜けてDelhiの標識が見えて国道2号(アジアハイウェイ1号)にはいると一気に高架道路になる。
しばらく進んで村の商店街のようなところについたので、そこでジュースを買う。立て続けに4本も飲んだ。
もう夜なので、ついでに夕食としてクリームサンドパンとゆでたまご3個を食べる。やはり安い
それでものど渇くので、袋水を飲んだ。
しばらく走ると、ドライブインに到着。たくさんの長距離バスが停まっている。休憩所のようなドライブインを覗いてみることにした
たくさんの乗客とすごい熱気。ターリーを配るシーンは、まるで刑務所の食事のよう。
そこにクルタをきたムスリム風のおっさんがやってきた。世話係りらしい。
「飯食うか」とか「コールドドリンクはここで売ってる」とか、例のインド式おせっかいで案内してくれる。
網ベッドを指して、「ここで寝てもいいぞ」と言われたが、とてもうるさくて人の出入りが激しく安心して眠れないので、丁重にお断りする。
それでもなお勝手に案内し続けるので、次第にうっとうしくなってきた。
そもそもたくさんの客がいるのに、なんで自分ひとりずっとにつきまとうのだろう。「このおっさん、もしかしたらホモか?」ちょっと心配になってきたが、最後になって
「これだけ案内したんだからチップくれ、お金くれよ」
と言い出した。
いやいや、何言ってるの。あなたが勝手に案内しただけで、こちらから案内なんか頼んでないのだから、やるわけないでしょ。こっちにとっては余計な親切、大きなお世話だっつうの。
と思っても、ここはインド。意外とそんなに悪い気はしないけどね。
ということで、いつものように国道を外れた静かな空き地で野宿するのだった。
朝起きると早速村人がやってきた。
プライバシーなんかゼロ。しかし病める大国・アメリカのように警戒されないだけでもむしろありがたいぐらい。
今日も殺人的な暑さは絶好調。それでもさほど苦に感じなくなってきたから、多少は慣れてきたのかもしれない
ガソリンスタンドで休みながら進む。エンジンはもう2ストのようにオイルをくいながら走ってるので、オイルを買って入れようとすると、ただでさえ暑苦しいのに反比例して、またもやかましく話しかけてくる。若い男のくせに、大阪のおばちゃん以上におせっかいである。
これだけくそ暑いと、かまねでけろという気分になってしまう。それよりも自分の仕事をやりたまえ。
スタンドには冷水機があるので、ガソリンだけでなく己の体に水も給油する。しかしこれだけ暑いとほかのインド人も同じことを考えていて、砂糖に群がるアリのように殺到するので、ほんのちょっとしか冷えてない。それでも生水飲むよりはマシである。15年前のインドの旅は、飲み水を確保するだけでも本当に苦労したなあ。
そして、午後の昼下がりに、暑い中タージマハルの街・アグラに戻った。
5ヶ月ぶりのアグラは、最初来たときは真冬で肌寒かったのに、今ではもうかんかん照りであった。
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