世界一周20-1 ニカラグア編1 廃墟なる首都マナグア・内戦と復興の驚くべき実態

南米・中米・北米編
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第20章 中米II ニカラグア編
(2001年3月16日~3月25日)

●廃墟なる首都・マナグア
●先進国同然の新市街

概要
中米は小国が連なっているが、それでも国ごとに食事内容が違うのは興味深い。
中米のガソリンスタンドは日本風のコンビニも併設されており、中米でも人気の
カップヌードル(100円位、米国製)も食べれる。

ニカラグア
通貨コルドバ=8.9円 ガソリン 65円  宿 534円

定食:
ガジョーピント(この国の主食。豆入り飯。見た目が赤飯そっくりだが、米はパサパサ
して麦飯のようにのどを通らない。)
固くて小さい肉、バナナ煮、 酢漬けキャベツ、
トルティージャ (とうもろこしの粉で作ったパンで、中米で食される。餅とホットケー
キをあわせたような食感。国によって厚さとかも異なるが、ニカラグアではインドのチ
ャパティのように薄い感じだった)  以上で135円

※ニカラグアやエルサルバドルは食糧事情が悪い(インドよりはずっとマシだが)。
保存を効かすため、味もきつかったり、不衛生で厨房にはネズミがいたりする。
庶民の生活は貧しくとても質素で、肉などもあまり食べる機会がない。

しかし、新市街では日米のようにきれいなショッピングモールが次々オープン そこ
で世界の料理やファーストフードなど金さえあれば何でも食べられる。貧富の差が激し
い。

※ニカラグア学生の自炊メニュー (情報ノートより)
ガジョーピント、トルティージャ、残り飯に野菜を入れたおじや、
ドリンクとしてコーン粉とココナッツ、砂糖を水で溶いて沸かしたもの。
この学生の場合も苦学生で、質素な食事だが、その分のお金で古本を買って勉強しているのだと言う。どこぞの国の学生とはえらい違いだ。

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廃墟なる首都・マナグア

3月16日。テントで迎えた国境の朝。テントを片付けたらニカラグアに入国だ。

昨夜国境に着いた時は宿があったのだが、足許を見ているので高かったのだ。朝を待つトラックがずらりと並んでいるので中に混じってテントを張って野宿することにしたのだ。

チリ北部以来、82日連続で宿やホテルに泊まってきたけど、野宿した今朝でその記録もストップだ。

南米北部の国々は治安がとても悪い分、宿泊費はとても安いので必然的に宿を利用したが、おかげさまでヨーロッパの73日連続野宿に比べれば遥かに快適でゆとりのある人間らしい旅ができた。

 

ニカラグアへの入国手続きは思ったとおり面倒くさくて、3時間もかかってうんざりする。
やっとイミグレを出てホッとしたのもつかの間、少し走るとまた停められた。バイクの消毒をする為だという。

まあ、バイクの消毒なんて生まれて初めての経験なので、話の種にどんなものなのか見てやろう。消毒液を洗車に使うような噴霧器でスプレーするのだが、バイクの隅々までかけることも無く、すぐにお終い。それで3ドルもした。いいかげんなもんだ。

首都マナグアに着いた「よう」だが、「←Centro」の標識をたどっても、一向に中心街・セントロが見当たらず、何度もぐるぐる廻って

「ありゃセントロはどこじゃいな」と探しまくっていたが、

あるのは1~2階だてのスラムのような住居と、共産国家にあるようなだだっ広いがらんとした広場や公園、草ぼうぼうの空き地しかなかった。

しかしそこがセントロだとあとでわかったのだが、自分がすでにセントロにいるのに気が付かないほど首都らしくなかったのだ。

マナグアは大地震と内戦で廃墟と化し、マナグア湖に面したセントロでは復興がされぬまま放置され、今なおビルが一つも無く、かつてあったと思われるオフィス街も空き地のままになっている。

そしてすぐに近くにスラム街があって、ボロボロの廃墟と化したアパートに不法居住者がいたりして身の毛がよだつ。

市場(メルカド)も日本の終戦後のような闇市のような雰囲気で、くさった雲痴のような腐敗臭が強烈に鼻を突く。中で売っている安手の雑貨も、タイに面したミャンマーの国境の町、タチレクみたいである。

食堂に入ると、暗い厨房にねずみがいて、いくら百戦錬磨の自分でも非衛生でのけぞる。せっかくバイクを消毒したのにナンセンスである。

そんな首都・マナグアだがある日、普段は廃墟のような静かな広場も、その日はお祭りのようなイベントをやっていた。
噴水のある広場は、特に人がにぎわっていた。

考えてみれば、共産圏の国は、国家の権威を誇示するためか政府関係の建物などは重厚に、道路や敷地なども広大に造られている。そして噴水も然り。ラオスの首都ビエンチャンでも、噴水のある広場があって、夕方になると音楽にあわせてライトアップされて水が噴出する。家族連れやカップルなど人々が集まる。

ビエンチャンとマナグア、共通しているのは熱帯地域ゆえの日中の暑さ、娯楽の少なさ、そして社会主義の名残だと思う。

イベント会場ではいろんなコーナーや屋台もあったりしたが、特設会場のステージもあった。

すると、ステージ上からいかにもジャニーズ系なダンスユニットが登場した。しかし屋外のお祭りステージ上なので、アマチュアくさく見えてしまうところがいい。

このニカラグアのジャニーズ系はブレイクダンスを披露するのだが、その流れる曲は彼らのオリジナルではなく、NsyncのByebyebyeなど、聞き覚えのあるUSの有名なチャートが多かった。

そしてキャーキャー、と少女たちの黄色い歓声が飛びつづける。
アイドルにファンの少女たち、という構図。

ここニカラグアでは内戦などで経済的や文化的に疲弊していてアイドルのおっかけなんぞやってるどころではないと考えていたので、アイドルに黄色い嬌声を送るのはせいぜい日本やアジアぐらいかと思いきや、ニカラグアでも行われていて意外だった。

彼らの出番が終わり、祭りも終わると、彼らは古いワゴン車に乗って会場を去って行った。そんなところがどこか素朴であった。

先進国同然の新市街

しかし、後日セントロから3kmほど内陸に入ると、今度はきれいなシェルのGSがあり、洒
落たレストランがあり、そしてショッピングモールまで見つけたのだ!

旧市街とは対照的に全てが新しく、ピカピカだ。先進国そのものだった!!

まるで北斗の拳に出てくるような、見捨てられた廃墟のセントロから来ると余計にまばゆく見えて、これでも同じニカラグアの首都なのかと思うと本当に信じられなかった。

旧市街は放置されて荒れるに任せた姥捨て山のようなところだが、代わりに内陸部を新都心として開発し、海を挟んだすぐお隣のアメリカ資本を導入して一から新しく首都機能の復興を始めている事がわかった。

早速、大型ショッピングモールの「MetroCentro」に入る。首都の中心の名に恥じず、中もまばゆいばかりにピカピカで、出来立てなのではっきり行ってへたな日本のショッピングセンター以上にきれいだった。

ハイテク家電製品、ブティック、ゲーセン、米国やメキシコ、中華料理などが食べれるフードコート、そしてネットカフェでは洗練された近未来的店内で最新のパソコンが使えるから本当に驚きだ。(その分1h3~4ドルと、少し高い)

そしてショッピングモールの中は下町の市場と違って「チーノ(中国人の蔑称)」と囃す者が誰一人いない。店員も客も中流層から上流層なのだ。

ニカラグアの庶民の生活水準はインドやパキスタンレベルだが、そんな国に日本と同じ店があるのだから、いくら貧しいといってもパキスタン辺りとは全く次元やタイプが違う。

世界に出る前は、こういうショッピングモールは日本や欧米などの先進国しかないと思っていた。しかしモールがなかったのはインドからイランまでで、その他の国々や北中南米どの国の都市にもあるので大きな発見だった。非先進国でも清潔で快適な大量消費型の店が押し寄せている。

モールを歩いていると、日本人らしき家族連れを見かけた。両親と高校生ぐらいの娘(今風に少し茶髪入っていたが)の3人が、なんか神経質そうに歩いていた。おそらく日本からの駐在員家族だろうか。

まあ私は好きで旅しているからいいが、この家族、特に妻と娘は無理やり環境の違うニカラグアに滞在しなくてはならないから大変である。彼女たちにとってここでは友達づきあいもできなくなるし、ましてや廃墟のセントロをぶらぶら歩くなんてもってのほかだろう。自由に行動できないからとても苦痛に感じているに違いない。

モール・メトロセントロを出てシェルのGSに入った。なんとコンビニも併設していた。給油後店内にテーブルがあるので「Maruchan」のカップめんを食う。お湯がなくても、水を入れて電子レンジに入れるだけ。うーんこのなつかしい味、と言いたいところだが、北米のカップヌードルやマルチャンは、見かけは日本のと同じだが中身の味はちっとちがう。

日本では油揚げ麺てきな食感だが、ここで売られているのは米国製なのでノンフライのパスタっぽい食感だった。割り箸ではなくプラスチックのフォークで食う(しかも折れやすい)だから「カップラーメン」というより「スープヌードル」と言った方が相応しい。

※Maruchanはマルちゃんのカップめんの事を指すが、安く保存が利き調理も簡単とあって、とくにメキシコで大人気で、メキシコ元来の食文化や健康がおびやかされるほどの浸透ぶりとなっている。そのためmaruchanという単語が「簡単」「すぐできる」という意味で最近メキシコ人の間で「会議がマルちゃんした」なんて風に使われてるらしい。

日本だとコンビニの前に、地べたに座って食べている中高生などがいるのが主流だが、ここニカラグアでは中高生ではなく、すすけた靴磨きの最下層の子供がたむろしていた。コンビニから出てくるきれいな身なりの客からお金をおくれよとやるのだ。やっぱりここはニカラグアなのだ。

重ねて言うが、ニカラグアも第三世界とはいえ、インドやパキスタンのように宗教的、民族的制約とか反発がないので日本のようにアメリカナイズされてる上、米国から地理的にも近い為、アメリカ式のショッピングセンターやGS、ファーストフード店が急速になだれ込んできているが、コンビニの前の靴磨き兼乞食の子らを見ると、これほど落差のある国はないと思った気がしたのであった。

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