世界一周23-1 マイアミ・フロリダキーズ・そして最南端到着!

南米・中米・北米編
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ついに天竺の国・インドから陸路伝いに西へ西へとはるばるやってきた。あのアメリカに。アメリカ横断ウルトラクイズで見て以来、行けば何かがある国だと思った、アメリカ。

しかしメキシコからアメリカについてからというもの、毎日寝床を探す生活。辛い赤貧野宿生活。だが前夜はマイアミ郊外に住むブラジルの美人妻・デニーズたちの家に泊めてくださった!なので至福の眠りだった。

 

いい目覚めの朝。ここはとりあえず一泊だけして、アメリカ最南端の島キーウェストから戻った帰りにまた泊めさせていただくことにした。コインランドリーで洗濯したあと、昼過ぎにマイアミに着いた。

マイアミの中心街はヒューストンに次ぐ規模の都市で、ピカピカな街並み。
「中南米の首都」といわれるぐらいだからラテンアメリカ色が濃いのかと思ったが、そんなにラテンな感じはしなかった。スペイン語の看板も見かけなかった。

「ここはアメリカだ。アメリカで生活するのなら英語を使え、さもなきゃ国に帰れ。自由の国だが、国に帰る自由もある」というのがアメリカの言い分。

まさにごーまんな気がするが、たしかに就労目的の不法移民や犯罪が多いので、アメリカで生きるのならそこに見合った一定の教養やマナーやと生活する為の語学力を身につけなくてはならない。その国の秩序を保つには理にかなってると思う。

雨が降ってきたのでマイアミ近郊のショッピングセンターに入り、キャンプ用品店を見て時間をつぶす。夜になると、また寝床を探さなくてはならないので一気に憂鬱になる。

スーパーの軒下だと人が来るので、深夜になって再びさまよい、結局深夜2:30になって茂みの中の目立たない場所を、やっとこさ見つけてテントを張った。このままだと肉体的にも精神的にも思いやられる・・・

翌朝5月2日、フロリダ半島からいよいよ諸島部のフロリダキーズ(鍵)を走る。

フロリダ半島の南端から米国本土最南端の島・キーウェストまで一本の国道で島々を結んでいるが、その距離はなんと180kmの道程。瀬戸内海のしまなみ海道のように島伝いに国道が走っているのでアメリカツーリングではハイライトな路線である。

島と島との間の橋は、浅瀬になっているのでその砂や珊瑚礁とかで盛り上がった上に道路が走っている。さしずめ沖縄の海中道路のようで、両端がすぐに海なので海中を走っている気分にもなる。

そして圧巻なのが7マイルズブリッジ。文字通り11kmに及ぶ橋で、海の上を果てしなく一本橋が水平線へと伸びるさまは最高。思わず橋を行ったり来たりした。

日本だったら高い通行料金取られそうだが、フロリダキーズの橋は全部通行料タダ。

そんな道をじっくり味わうようにゆっくり走って、国立公園の珊瑚礁のビーチで昼食。いつも粗食だけどこのときばかりは絵になるシーンだ。

すると、ハーレーに乗った一人の地元のバイカーがやってきた。身なりや立ち振る舞いからしてこういうところに住むお金持ちのようだ。

「そうか、きみは長旅なのか、がんばりたまえ」
といってポンと20ドルくれた。

アメリカは、「自由の国」の建前とは正反対になぜか野宿や自炊が全然自由にできないので不自由さゆえにとても辛かった。汚い旅姿ゆえにいやな顔されたりされる事もあったが、反面チャレンジ精神を買ってくれる人も多く、見知らぬ人からよくお金をくれたりした。

先日のデニーズからも10ドル。そしてスーパーの駐車場でこっそりラーメンを作っていると、ある家族がやってきて、その小さな女の子が私に2ドルと、なぜかアパートの賃貸案内書(?)のメモをわたしてくれたりした。

確かに自分は小さいバイクで見るからに金の無い人に見えたのだろうが、アメリカの貧乏ツーリングは想像以上に辛かったので遠慮なく戴いた。

夕方18時。ついに着いたぞキーウェスト!本土の最果ての町!なのだが、根室や稚内のような寂寥感漂う雰囲気とは違い、明るい感じの観光地と化した町なので、アメリカの本土の街並みとはだいぶ違う。

町から少し行くと米本土最南端の碑がたっている。ここへは簡単にいけるので宗谷岬以上に観光客が立ち寄って大賑わいだ。
キーウェストから海を挟んで、キューバの首都ハバナまでたった145km。
(日本で言えば、沖縄県与那国島から台湾まで110kmの距離)
そのせいか、街にはキューバの雰囲気もあった。

港には贅をつくしたカリブの豪華客船が停泊し、街中には観光トロッコ列車が走り、そしてインド以来の「サイクル力車」もあった。キーウェストの島そのものが非現実的なアミュ-ズメントパークだ。

このリキシャは、もちろん観光用で、三輪自転車はインドと違ってテールランプなどの保安部品もしっかりついている。驚いたのが日に焼けたセクシーなブロンド美人が客を二人乗せて漕いでいたりしていた。そのさまはまるで深夜に放送されるアメリカのテレビショッピングのようだった。

キーウェストのサイクルリキシャの場合だと、このようにシェイプアップを兼ねた明るく健康的な感じだが、これがインドになると、生活のために真っ黒に焼けてガリガリに痩せた老人が炎天下の中漕いでいて、はたから見るとまるでドレイを酷使しているみたいでせつない。

車やバイクの州のナンバーも、アメリカ北部やカナダのナンバーも多く、そしてヒッピーも多い。まるで石垣島みたいなところだが、フロリダキーズでは全島全域でキャンプは禁止。だからビーチでテント張ると100ドルの罰金だ。

なのでキャンプ場のみでしか野宿できないのだが、キーウェストでは案外公園や橋の下でダンボール敷いて寝てるヒッピーだか浮浪者だかも多いので、自分もそれに倣って閉鎖した自動車修理工場の裏で隠れるようにして野宿した。
しかし、夜中にチンピラに見つかった時はさすがにビビった。

翌朝、キーウェストを出発してしばらく走ると、昨日と違ってエンジンから異音が出てきた。やばいなあ、と思ってもう一度キーウェストに戻ったらどんどんノイズがひどくなった

そしてキーウェストの街中に戻ると「スコッ」という音を最後に、エンジンが息絶えた。

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最南端の島での意外な運命

キーウェストで突然息絶えたジェベルは、結局ドイツのハノーバー、ブラジルのフロリアーノポリス同様、3度目のエンジン死亡となった。

もうどうにもならないので、とりあえずデニーズの家までバイクごとのヒッチハイクを試みたが、全くダメだった。
ホームセンターでロープを買い、牽引してくれるバイクや車を探した。

GSにヒッピーライダーがいたので、頼んでみたが
「とんでもない。牽引は禁止されているのだ」
と言われて、万事休す・・・

ジェベルはもう島から出られないのだろうか・・
結局バイク屋まで行ったが、10kmも押して歩き回ったのでクタクタだった。

翌朝、バイク店に行くと

「125ccのエンジンパーツなんて無いから、直るまでに何週間もかかるね。」

と言われた瞬間、ジェベルの運命は決まった。

つづく。