以前、バイク離れの記事を書いたところ、
「バイク離れ」で検索すると見事トップに出たので、
次は日本の若者の「車離れ」をテーマにします。
ただし、北海道などの人口の少ない地方では、依然車は生活必需品な面もあるので、
車離れが顕著な首都圏・大都市圏の例で考えてみました
車離れが進む原因
少子化、人口の減少
これは前回のバイク離れでも書いたとおり。若年層が減ると当然新規ユーザーも減ります。
維持費がめちゃくちゃかかりすぎる
駐車場、重量税、自動車税、車検費用、ガソリン税、自賠責保険、任意保険。
それだけでなく、冬場のスタッドレスタイヤや、オイルやカーバッテリーなどの消耗品もかかるので、
乗らなくてもお金と手間もかかる、超・金食い虫です
駐車場がない
都会の場合は、空いている駐車場探しに苦労するし、駐車料金も非常に高い。
ネット・スマホの普及
スマホをいじりながら目的地へ移動できるようになった。
渋滞にいらつきながら、ネズミ捕りにおびえながら移動するより、スマホで遊びながら電車で移動。そのほうが楽じゃないですか。
今みたいにネットやスマホのない時代は、娯楽としてあちこち出かけていた人が多かったけど、いまでは家でスマホやってたほうが安全で、金もかからず、資源(ガソリン)を使わず環境保護になり省エネになっている。
ここまでは、
多くの方は認識してると思いますが、
これから核心に迫っていきます。
世代間のズレ、昔のままの価値観
若者の車離れの次は熟年の車離れ トヨタの過ちを専門家指摘
私を含め、当時の若者が競ってカッコイイ車に乗ろうとしたのは、車がデートの必須アイテムだったからだ。デートと言えば車、車と言えばデート、と言っても過言ではない。
テレビのCMも『ケンとメリーのスカイライン』に象徴されるように、若い男女にターゲットを絞っていた。青春映画やテレビの恋愛ドラマでも、デートの場面には必ず人気の車種が登場していたものだった。
それが今では、低燃費だのエコカーだの、あるいは安全性や収納性の高さなど、機能の優位性を訴えるCMばかり。その結果、若者の目から見れば、オジサンやオバサンの乗り物としか見えないだろう。
地方へ足を延ばせば、逆に公共交通機関網は衰退している。従って、魅力的なデートスポットを地方に見い出せば、若者は車の必要性を感じ始めるに違いない。首都の東京から見ても、軽井沢や那須高原あるいは湘南や伊豆など、車で二時間も走れば行けるデートスポットは沢山ある。
カーメーカーの広告宣伝力をもってすれば、トレンディードラマのデートシーンに、車を登場させることなども難しくない筈だ。
http://www.excite.co.jp/News/society_g/20120205/Postseven_85739.html?_p=2
一世代前は、「女に振り向いてもらうためには、無理してでもいい車を買う」
という時代でした
しかし。
「トレンディードラマ」って、いつの時代や(笑)
しかも、飛行機はコモディティ化によって、LCCなどで気軽に安く国内どころか海外に行ける時代になったのに、いまや伊豆や那須高原なんて、今の若い人はどれだけ興味と魅力を感じるんだろうか?
http://www.officej1.com/bubble/abukuzeni-12.htm
そんなね、70年・80年代の昔の錆びた価値観を押し付けるから、オジサン、オバサンの乗り物って言われるの。
そしてその3~40年で都市部では鉄道路線も増えて、格段に利用しやすくなった。
いまやデートスポットなんて、大体都市部に集約してるわけですよ。
東京だけでも、魅力的なデートスポットなら掃いて捨てるぐらいにある。
当時とちがって、スキーもゴルフもしなくなったので、ガソリンかけて地方に赴くこともなくなった。
もうね、以前の記事にも書いたけど、
https://tabi1.com/veterans-fall-into-a-trap
娯楽にお金をかける時代ではなくなったのですよ。
昔みたいに無理してリア充を演じる必要もなくなったわけですし。
エライ人たちが見えない現実
「女にモテる車を作れば若者の車離れは止まる」
若者たちがクルマに目を向けないのは、メーカー各社が彼らを振り向かせるに足る魅力あるクルマを開発してこなかったからだ。「都心からはちょっと遠いけど、環八辺りのマンションに住んでもいいから乗ってみたい」と思わせるようなクルマを造らない限り、日本の自動車産業は間違いなくジリ貧になるだろう。
http://www.news-postseven.com/archives/20101227_9030.html
それなのに、これなんかもう呆れるぐらいピントがずれまくっている。
「パンがない?ならケーキを食べろ」とどこぞの王妃みたいだけど、
都心だろうが環八沿いだろうが、マンションは高いことには変わりないわけですよ。
そんな余裕のある若者、いまどれだけいるのですか?
この自動車評論家は、かつての自動車番組などでエラソーなことほざいてたけど、きっと貧困層のことを知らずに生きてきたんでしょうね。
しかも「車が売れないのはセクシーさが足りないからだ」
といってたけど、これなんかモロにオヤジの発想。
何も考えずに「セクシーだから買います!」じゃ、
さかりのついたサルとおんなじじゃないですか(笑)
たとえセクシーだろうがなんだろうが、生活に必要なかったら、買わないよ。
アメリカの真似をしたら、車が増えすぎてしまった。
大戦後、アメリカの傘の下で経済成長した日本。
戦後間もないころの人はアメリカのドラマを見て育つわけです。
そこに映し出される大きい家と車。
日本も豊かになったら、せめて車だけでもと、「いつかはクラウン」のように、
「車を持つこと」が暗黙の了解になった。
あのころは、車は一家に一台、一人一台、という目標を掲げるわけです。
そして日本はどんどん車を増産し、国内だけでなく国外に輸出して外貨を稼いでいました。
しかし、石油資源もなく、山道が多く狭い国土に人口が集中してしているのに、アメリカのように一家どころか一人に一台なんてやってたら、車が増えすぎて大変なことになります。
私が子供のころの80年代は、アメリカなど世界中に優秀な車を輸出しまくって多大な貿易黒字になり、
そのためまさにクルマさまさま。
クルマはえらい。
デートしたけりゃかっこいい車買え。
そんなクルマ信仰の時代真っ只中なわけでしたが、そのため日曜日は、どこにいっても渋滞。観光地は人だらけ。
運転している父はというと、いつもどこかぶすっとした顔で、ちっとも楽しくなさそうでした。
そしてまた明日から朝から夜まで仕事となれば、疲れも取れない。
家族サービスといえど、父は無理してドライブしている、という「現実」が子供に伝わるわけです。
そうなると子供の世代としては、日本がどんなに優秀な車を作っても、車を持つことに魅力を感じなくなってしまうのです。
しかも、さらに重大な欠陥があります
車は資産にならない。車は巨大な消耗品だ!
「エコカー補助金」の申請が9月7日で打ち切りとなった結果、国内での新車販売台数(軽自動車を除く)は、1968年の統計開始以来、10月としては過去最低を記録。42年ぶりに20万台を下回りました。この数値は1990年10月(50万4641台)のピークと比べて、6割以上も減少しており、極めて低い水準になっています。
“若者の車離れ”と言われて久しいですが、中古車なら10万~20万円で買えるものもある。それでも車に乗らないのは、高い維持費を払い続けることができないからです。つまり「買えない」のではなく、「持てない」のです。
http://www.news-postseven.com/archives/20101114_5853.html
国内での新車販売台数はバブル最高潮の1990年をピークに下回るわけですが、新車を増産するまでもなく、中古車であふれるぐらいになってるじゃないですか。
たとえば海外では、国によっては車は資産になります。10年や15年たっても、そんなに価値が下がらないわけです。維持費も日本よりも断然安い。国によっては、インフレで価値の下がる現金よりも車を持ってたほうが、資産運用にもなるわけです。
しかし日本だと維持費はアホみたいに高いうえに、何百万もする新車が10年、15年落ちとかになると価値がタダみたいに下がる。
そうなると日本では車は資産ではなく、タオルなどと同じ消耗品です。いまの日本の政府の導きどおり、5年や10年で新車に買いかえさせようものなら、消耗品としてはあまりにも高くつきすぎます。
それならば、自分と一緒に苦楽をともにしてきた車となれば、愛着もあるのでせっかくだから15年でも20年でも乗りつぶそう、とおもう人も少なくないわけですよ。
しかし法律が変わり、
年式の古い車は税金が高くなってしまった。
となれば、愛着を持って長く乗り続ける人にとって、
いやがらせ以外の何者でもありません。
思い出のある自分の車をこよなく愛する人はバカにされてるんじゃないか、と思うのです。
よって若い人にとっては、資産にもならない価値の下がるめんどうな「巨大な消耗品」なんて持ちたがらないのは当然です
もはや、ケンとメリーのCMとか、モテるセクシーな車を作れだのトレンデードラマとかで解決できる次元じゃありません。
わかりますか?
車を愛する人までも犠牲にしていないか?
このポッドキャストラジオのなかで
http://podcast9.kiqtas.jp/future/archives/2017/01/7–.html
司会のハイパーメディアクリエイター氏は、
役人の方々を前に
「役所のみなさんが、勉強ばっかしてたからじゃないですか」
と言い放っている。
つまり人生、仕事や勉強ばかりでなく、遊ぶひつようもあるわけです。
もし日本人全体、そして役所の人たちが、欧米のようにじっくり休暇を取って、しっかり心から遊んで物事の洞察力を養っておけば
「年数の古い車は増税する」なんて法改正はできなかったのではないか?と思うのです
新車買い替えや税収などの頭でっかちな数字勘定のせいで、自分の車を長く愛する人すら犠牲にしてるのです。
たしかに、日本の自動車産業が衰退する、というのは、実際に国民が運転するという経験があってからこそ、そのユーザーの経験や意見がフィードバックされて成り立つわけですからね。
では、そのためにはどうすればいいか?
「所有」という固定概念を捨てる
限られた収入の中で
自家用車は、通勤や仕事や生活で必要なのか?
電車やバイクや自転車で代用できないか?
と抜本的なところからしっかり考えてみる。
なにがなんでも必要でなければ、まずは持たずにレンタルすればいい。
そうすればいろんなタイプの車に乗れますし。
最近では既存のレンタカーのみならず、格安レンタカーやカーシェアリングも増えているし、しかも多くのホームセンターは、大きな資材を買ったら軽トラも貸してくれますしね。
昔はこれらのサービスがなかったので、じつにありがたいことです。
国内のみならず、海外を走るのもあり。
「海外の運転は危険」というかもしれないが、四輪ならバイクほど危険じゃないし、オーストラリアやニュージーランドなら右ハンドルで安全に運転できます。
もちろん運転に自信がないなら、へたに海外で運転しないほうがいいですが、運転する自信があればすればいい。そもそも日本人は全体的にマナーが良いので、誇りを持って運転すればいい。
日本の首都圏で運転するのがばからしくなるぐらい、海外では快適に走れます。
たとえば私は、タイ・チェンマイで車(TOYOTA VIOS)を借りて、ゴールデントライアングルの国境地帯をドライブしたことがありますが、車窓からなんと!ミャンマーやラオスなどの隣の国が見えるんですよ。
日本では味わえない夢のようなドライブが味わえるのです。
まとめ
戦後から70年たち、昭和後期のクルマ信仰の時代をえて、生活も格段に便利になり、車がなくても楽しめるようになった。ワークバランスや環境負担も考えるようになった。日本のみならず、世界全体の意識が変わってしまったのです
そこで、しがらみも名もない私のような海千山千の二輪・四輪経験者が、デメリットを突くことによって、問題点と今後の改善すべき点が見えるのではないか。
ということで、
この記事が、一人でも多くの政治家や自動車業界の方々の目に留まり、今後の自動車産業向上への参考になれると幸いです。