1月2日
6時チェックアウトなので、しかたなく5時起床。しかも雨。何でこんな時間に出なければならないのか。「朝から予約があるから」と言っていたけど、誰も来る気配はない。まだ暗いのであたりは店もやってない。完全にふてくされまくりながらも、結局、明るくなり始めた7時に出発。
牛がうろつき、二人乗りスクーターが傘を差しながら走る、雨の朝。
アルワールの駅前に行っても、食堂とかに行っても食べられるようなものはまだ何も売っていない。そう言う意味では、インドはまだまだ不便。タイならコンビニがあるのに。
そのまま雨の中アーグラーを目指して走る。じわじわと濡れる。
国道を外れると、迷りまくったり道が悪かったりで非常に時間がかかる。その分ラジャスタン州の田舎のシーンが見れて面白いし道中の写真をじっくり撮りたいけど、雨降ってるのでそんな気になれず。もったいない。
ラジャスタンの名もない田舎で、どんどん田舎臭くなる。途中の町では猿発見。そしてらくだも発見。ちゃんと荷役用に働いておる。
それにしてもインドの田舎はアフリカにそっくりだ。町の喧騒、モスクなどのある風景もケニアやタンザニアと同じだし、穴ぼこ道路の一面がドロドロになった道路も、雨季のザンビアだし、濡れながら走る肌寒さも南米ペルーやボリビアのアンデスの道のようでもあるし、世界一周やアフリカの旅がなつかしい。
寒い雨の降る、寒々しい風景
インドのいいところは、アフリカや南米に比べて物価が安いのと、治安が良く、フレンドリーな人が多い。(そう書くといいことずくめのように聞こえるけど)
天気の雰囲気といい、顔立ちといい、どこか東ヨーロッパをおもわせる
途中のジャンクションで、三叉路があったので、GPSを頼りに細いほうの道へ。その道は荒川沿いの河川敷の中の道をおもいだす気持ちのいい道。
でもGPSを見るとどんどん方角が離れていくのでそこではなかった。三叉路に戻り、大きいほうの道へ。
マトゥーラから20kmの町のペトロールステーション(ガソリンスタンド)にとまると、ガソリンも入れてないのに、店員のおじさんがチャイを飲まないかといわれる。屋台でサモサ(2コ10ルピー)を買ってGSに戻ると、チャイを出してくれた。「ここにかけたまえ」と椅子まで用意してくれた。
感謝。チャイとサモサで今日始めての食事。まさにインドらしい食事。きっと泥まみれになった私を見て、おじさんは大変に思ったのだろう。こういうさりげないおもてなしが、インドが大好きになるひとつである。
マトゥーラからアーグラーの国道2号線。15年前もデリー>アグラは高速道のような道で、がらがらで快適で3時間でたどり着いたけど、今では車とかも増えて交通量が増えて、走りにくくなっていた。
あえてなぜアグラに寄る事にしたかというと、タージマハル周辺が15年経ってどう変わったのか見ておきたい。
当時、ホテル・ホストという、白黒テレビ(笑)つきで1泊80ルピー(200円)と言う激安だったので連泊し、そこに泊まりたかったが、ホテルホストは見当たず。タージの門の辺りから進入禁止になっており、昔とちがってずいぶん変わったようだ。なので15年ぶりのタージマハル周辺も全然判らなかった。さがしてるうちに暗くなって来たので、そろそろ他のところに決めよう。
てきとうに走ってると、店の前で呼び込みの兄さんが「駐車スペースもあるよ」といわれ、呼ばれるままにその宿に入る。Shanti Lodgeという宿で、一番安い部屋なら300でいい、というので即決。歩き方にも載っていた。昨日の町とちがって、膨大なホテルや宿があって競争が激しいのか、かなりお得。
スタッフも応対も良い。昨日のAlwarの宿とはえらい違いだ。屋上からタージマハルが見える。夜になると見えなかったが。いちばん安い部屋なので通りに面してうるさく、ホットシャワーが無かったが、空いている2号室にシャワーがあるのでそこを使わせてもらえた。電気シャワーとちがって熱いお湯がふんだんに出る!最高!
今日はずっと冷たい雨に降られ、体や服も濡れて泥まみれになったつらい一日だったので、生き返った。ナミダが出るくらいに最高すぎる!浴びたあとはすっかり体もあったまり、至福のひと時。9時半ぐらいにはそのまま寝てしまう。明日も早く起きよう。
走行254km
3日の日記
8時40分起床。ホットシャワーと布団で安眠の大熟睡。もっと早起きしたかったが、昨日の疲れと寝不足で結局11時間ぐらい寝てしまった
今日も、日が落ちるまでにジャイプルにたどり着かなくては。アグラは戻ったときにゆっくりしたい。
ビスケットを食べる。小さなポテトチップスや5個入りぐらいのちゃんとしたチョコビスケットが5ルピー。たったの10円。こういうものがインドは本当に安いのでうれしすぎる。
10時にチェックアウトしたあとはシャンティの屋上レストランで朝食。チーズオムレツ70 プレーントースト30 チャイ30。合計130ルピー(260円)インドの朝食の値段でこれはとても高い。だけど世界遺産であり世界一の墓であるタージの見える「場所代」だと思えばとても贅沢でとても安く感じる。
今日も深い曇り空でタージがぼんやり見える程度だが、自分のほかに誰も客がいなくて、静かに見えるがいい。
そのあと、泥を落としながらのチェーン調整。
その間、若いインド人が、「なんでだろ~なんでだろ~」「サンペェーデース」と今の日本人なら誰も言わなくなった一発屋の化石ギャグをインド人が連発するのだから、まるでタイムカプセルや!そういえばこの近くのレストランでは一時期「あやまんJAPAN」が流れていたらしい。だからインドは面白い。
化石ギャグの価値、おそるべし
なんだかんだで出発できたのが12時過ぎになってしまった。しばらく走ると、高速道路になる。
今日はアグラからジャイプルの国道11号で、ずっと高速道路になっており昨日とは打って変わって、思いのほか快適。
「インドはこんなに快適だったっけ?」と思うぐらいの進歩で、15年前のインドから比べると、別の国を旅しているようだ。
しかし、インド相変わらずだなーと思ったのは、思いっきりハイウェイを逆走するバスや車がいること。
これが日本だったらすぐにニュースになり、「免許取り消しだあ!」
て話になりそうだが、ここでは逆走車がやってきても、当たりまえのようにみんな普通によけていく。
自分も普通によけていく。らくだが引いている荷車までも逆走。
「あ!!あの車、逆送してますよ!」
「ほかの車もよけてるから、我々もよけるしかないでしょう~」
「まあここはインドだからね~」
と、おもわず水曜どうでしょう風につぶやくほどの世界である
1時30分頃、料金所(二輪は無料)を出たところに掘っ立て小屋の食堂があり、入るとジャイプルに着くのがおそくなるとおもいつつも、やはり食欲にはかなわず、入る。チャパティとダール(豆カレー)だけだった。付け合せにある生の大根と玉ねぎがうまい。寒々しい天気でも、熱々のダール50とチャパティ2枚10で60ルピーで心もあったまる
そのあとは一気に走る。ハイウェイでは80km/hで巡航。FZは80ぐらいがノイズが少なく走りやすく、エンジンにも負担もかからなそう。
4時ごろ、ある町に着くと、スナック菓子が壮観に並べられた店が並び、まさに「ここで休憩せよ」といわんばかりのアピールぶりなので、小休止。インド式のサービスエリア。
スナック菓子を食べながら飲む1杯のチャイに、身も心も暖まる。日本だったらコンビニで缶コーヒーを飲む感じか。
ジャイプルの手前でガス欠間際になったので給油。ほかのバイクは、なぜか30とか70とか100ルピーでちまちま入れているが、自分はタンク満々に12.67L 、840ルピー入れた。高い!デリーを離れるとリッター67ルピー(134円)と、日本とそんなに変わらなくなってきた。以前あるGSで同じくガス欠間際からマンタンに入れたときは14L以上入ったが、あきらかにメーター詐称だとおもう。15年前同様、インドでは相変わらず詐欺ガソリンスタンドがある。
昔はインドにはトンネルはほとんどなかった。
しかし経済発展している今ではバイパスのトンネルができている
ジャイプルに着いたのが6時ごろだが、街中で渋滞して思いっきり時間がかかった。宿探しでは、歩き方に載っているStephelsに行ったが、「400はダメ、500ならOK」といわれたが、ホットシャワーは朝だけだというし、そして「この500ルピー札は古いので受け取れない。銀行で交換せよ」とぬかすので、そんなとこはやめてプリティGHに行くと、日本語の出来るプリティの旦那・ソノさんが「700~900ならあるけど」といわれ、なんだかんだで500ルピー(1000円)で取引成立。
ツーリングを開始してからは、行く先々の宿の値段は交渉制になっている。自分が泊まれる範囲の金額で泊まっているので、値段なんてあってないようなもの。これからは一泊300ぐらいに安くしたい。
夜の暗い通りには、おでん屋台のようにポツリと屋台が。そこにはネパール名物のモモ。作ってるのは当然ネパール人。
モモは水餃子で、一皿20ルピー。肉なしのベジタリアンモモ。だけどやたら塩ばっかでしょっぱいのでおいしくなかった。しょっぱいと塩分取りすぎで高血圧の原因になるし、なにより味がわからなくなる。
宿に戻り、ホットシャワー堪能の後、泥まみれになった服などを思いっきり洗濯。ズボン、シャツ、コート、デイバック、靴も洗う。洗った水はまっ黒。
ベランダに干す。23時ごろを過ぎると、思った以上に静か。PC作業とかがはかどるが、とても眠いので2時ぐらいに寝た。
走行267km