私の黒歴史 ~就職先は悪徳キャッチセールス(前編)説明会と研修

英語・語学
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たびいちドットコムをはじめて大分経ちました。
始めた当初はビギナーズラックでPVも多く広告収入も入ったものの、このところPVも低迷し収入もほとんど発生してません。

そこで、これまでの人生にあった、情けない話も書くことにしました。
自分にとっても黒歴史のため、はっきり言って思い出したくない、にがくてつらい過去なのだが、
たびいちドットコム低迷打破のためには、過去の人生の失敗をもういちど掘り起こして研究し、情けない自分をさらけだすことにしました。

 

時は10年前の2005年。

4ヶ月におよぶ東南アジア放浪から帰国し、就職先を探していた。

そのなかの一つの求人広告に目がとまった

外資系の英会話教材のセールスです
週89000円以上可能!
アメリカンな職場!
英語が出来なくてもOK!働きながら英語力UP!

こんないいことづくめの怪しい求人、今だったら絶対受けないだろう。そもそも月給制なのか時給制なのかもはっきりしていない。しかしあの頃はまだ知らなかった。
そして当時、人間同士のもめごとで重度の人間不信になっていたので、ヤケになっていたのかもしれない。

「月に直すと月収35万円?こりゃいいな」
「くそー、外資系企業でバリバリ活躍して、あいつらを見返してやる!」と。
(といっても、英会話教材が外資なだけで、会社は外資系でも何でもなかったんだけど。笑)

 

何年ぶりかのスーツを着て、いよいよ初出勤。
面接は無く、3日間の説明会兼研修のあと、採用合否を判定するとのことだが、
「普通に研修を受けていれば問題はないですよ」といっていた。

説明会兼研修は3日とも研修室で行った。
研修の内容は、自己紹介、当社が扱う英会話教材の説明、契約をとりつけるまでの道のり、トークの仕方など。
最初の日は新人同士で打ち解けるために、自己紹介。

英会話教材を売るという仕事なので、経歴には自信があった。

世界をバイクで走ったことやオーストラリアのワーホリの話を披露すると、
同期の若い女の子から「そんなことやってきたんですか、すごいですねー!」と
一目置かれて気分はきわめて上々。

ついこないだまで人間不信に陥っていたので、若い女の子からおだてられると、シンプルな神経をしている私はヒーローになった気分で、すっかり調子にのっていた。

「これなら結構稼げそうだぞ」

 

しかしここで奇妙なのは、事務所には一切入れさせてもらえない事。
普通、研修と言えば会社の中を全部見せるものなんだが・・・

それらの不自然さに気づいてしまうのも当然いて、
「これってキャッチセールスじゃないの?なんだ、じゃあやめた」 と言い放ってすぐに退場するつわものもいた。
ある意味、彼こそが真っ当正しい選択なのだが、
「ま、彼はほかの世界でがんばってもらおう。さあ続きをやりましょう」とそしらぬ顔で支店長は研修を続けた。

 

そして研修3日目の終わりに

「おめでとう。みなさん全員合格です!さあ明日からがんばっていこう!」

 

やっとこれで仕事が決まった、

とほっとする反面、こんなにすんなり簡単でいいのだろうか。と言う思いもあった。

 

期待と不安が混じる中、明日はどんな一日が待ち受けているのだろう?

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キャッチの一日がはじまる

4日目の今日は、朝の10時に朝礼だ。

研修も終了し、今日からいよいよ仕事が始まる!

そしてそれまで開かずの間だった事務所に、ついに入ると・・・

机と電話だけの部屋。

パソコンとかは一切ない。営業目標やスローガンがいろいろ貼られてはいるものの、どこか殺風景な事務所。

しかもなんだ、この違和感ある空気。

みんな、不自然なぐらいにえらいハイテンションなのだ

朝礼の時間になると、「今日の朝礼担当〇〇さん、おねがいしまーす!」

その指名された女性スタッフの〇〇さんは、自分の夢や目標を、素っ頓狂な大声で語りだすのだ

 

あの自己啓発セミナーのような、催眠術にかかったような目つきと話し方は、今でも目に浮かぶ。

今日の担当が終わると、きのうの報告や、つづいてマネージャーや支店長の話になる

ここのオフィスの最高責任者というべき支店長は、学生時代にアメフトをやっており、みんなで力をあわせて努力して大会で好成績を収めた時の達成感という、いかにもアメリカ式体育会的な話をした。

 

朝礼は毎日1時間以上になるのだが、たしかに、話し自体は面白かった。

実際聞いてみると全然飽きさせない。

なぜなら、彼らは言葉巧みに高額教材を売りつけるスペシャリストだから。

 

しかし他者から見れば、やりがいと希望をダシにして洗脳する、ブラック会社以外の何物でもなかった

 

 

午後からは書店や駅構内などに行き、いよいよキャッチセールス。

道行く人に、「図書券3000円分が当たりまーす」「アンケートおねがいしまーす」と声をかけ
引っかかった人に住所電番と興味のあるものをアンケート用紙に書いてもらい、後日電話連絡をするというもの。

キャッチしてみてわかったのは、年齢の若い女の子ほど引っかかりやすい。

かといって彼女らはたびいちに惚れてるのではなく、プレゼントの図書券3000円に惚れてるだけだが。

バイトやおこずかいの制限があるから当然かもしれない。

が、英会話教材は18歳未満は契約不可なので、18歳未満と判ると、その場でおことわりせざるを得ない。

かといって18歳以上の人は、ある程度社会に出て判断力もあるせいか、あまり引っかからないので、結構難しい。

 

夕方にはキャッチセールスを終えて事務所に戻り、夜は電話セールス。

 

男性先輩スタッフが持ってきたのは、段ボール箱に入ったアンケート用紙の束。

それらは何ヶ月も前のアンケート用紙で、留守中でかからなかったり、担当者が辞めて使われなくなったものだ。

「どんどん電話をかけてアポにこじつけて下さい。ここにある箱は、宝の山ですよ

確かに、個人情報は宝であるが・・・

 

9時半ぐらいまでひたすら電話をかけまくる。
ほかの人もみんな一心不乱に電話しており、あの朝礼の時のような華やかな雰囲気は、全く無い。

 

もし電話で相手方にアポイントが取れたら、相手方の自宅へ訪問するか、会社の一室に来てもらい、教材のセールスを行う。成功して契約成立になれば報酬が発生できる。

契約率はおおむね20%。つまり1件の契約&報酬のためには、5回のアポ&セールスを行わないといけない。

結局3時間かけて何十件も電話をしても、留守中だったり、「やっぱりうちはお断り」だったりと、1個もアポは取れない。

ふとアンケート用紙を見つめると

「もう電話するな」 と言われた
「これ以上電話すると警察に通報する」 と言われた

といった物騒なメモ書きも書かれている。

そもそもセールス電話をかけること自体が非常識だし、夜9時になるとなおさら迷惑なのだが、みんながやってる仕事なので、そうはいってられぬ自分がいた。

いま振り返ると、組織のために、はた迷惑な事をやっていた自分が恐ろしい。

 

出社が9時50分頃で、退社が21時45分ごろと言う、1日に12時間労働のシビアな一日だった。

そんな日々がこれから続くのである。

つづく

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