韓国国境の旅も、ついに、最後のクライマックス!!
前回は東海岸から北朝鮮をながめましたが、
今回は西海岸の臨津江・烏頭山(Odusan)から眺めました
国境ドライブ3日目。
春川の工業地帯の片隅で目覚めた、穏やかな朝。静かである。
どうも冴えない車中泊の場所。
だけど静かに安全に野宿できたので文句なし。
春川市内
無駄に広い道
春川から板門店をめざす。最初は田舎の道だったが
ソウルから北朝鮮に通じる国道一号線。北に対する誇示の為か、戦争が起こったときのためか、交通量のわりにムダとも思えるぐらいに道幅がやたら広いので、遠慮なくスカッと飛ばす。
とくに別の道を走ったときは、これまた片側三車線もあるのに、ほとんどと言っていいほど車が走っていなかった。
まるで滑走路のようだったが、北に近いので、軍用道路を兼ねているのだろう。
そこで、
鼻歌交じりでアクセル全開!アクセルを思いっきり踏んでやる。
日本では味わえない速度域。
景色がびゅんびゅん流れてメーターは160km/h近かったが、
滑走路のような状態なので、危険な感じがしないのである。
朝鮮半島国境の代表格といえば板門店。まるで中華料理店のような名前だと子供のころ思ってたあの板門店。
しかし板門店から数キロ手前に検問があり、
「Can I go to Panmunjoem? ・・・・Go,OK? Go ahead,ok?」
兵士に聞いてみたが、
兵士からは指をバッテンコにしてNo、と言われた。さっさと引き返し。
韓国側から、北朝鮮の建物が見えた!
板門店の検問からは、ソウルから北に行ったところにあるオドゥサン(烏頭山)展望台へ向かう。
その間も高速道路になっていたが、有刺鉄線の対岸は北朝鮮。
車の中から撮る気分はワイドショー?
東の展望台から、西の展望台に到着
ここでも展望台の名は「統一展望台」だった。
南北問題が複雑なこの場所で、
どうも微妙すぎるゆるキャラがお出迎え
展望台には土産店と資料館がある。資料館は、東海岸同様、北の生産品などいろいろ展示されていて面白い。まるで半世紀前にタイムスリップしたようなアンティークの世界。
(その記事は、後日紹介します)
展望台からは、臨津江(イムジン川)を挟んで北朝鮮が見える。
昨日の東海岸側とがらっと変わって、とても天気がいい。
そしてここからは景色だけでなく北の「建物」が見えることだった。
望遠鏡があってW500のコインを入れると2分間見える。
十何枚もコインを投入してまで観察したものは、
北の思いもよらぬ風景だった!
北の対岸の村には数十軒の建物や民家が見えるのだが、一言で言えば、北斗の拳にでてくる廃墟と言った方がいい。といっても「のどかな廃墟」といったほうがいいか。
対岸の村々では、乾いた黄土色の土地に平屋建ての民家や4階建てぐらいの建物が点在していて、村の集会所も見える。卒塔婆のような文字の書かれた巨大な柱も立っていた。金日成に忠誠を誓う言葉が書かれているのだろうか。
多くの建物は窓の下とかがピンク色とかで汚れていた。窓もない感じだ。そして見掛け倒しの粗悪なつくりなので、いくつかの建物はすでに崩れていたり屋根すらなかったりしていて、こんな惨めなところにも人間が定住しているのかと思うと不気味ですらあった。
いまや地球最大の廃墟とされる平壌の柳京ホテルは、見栄を張るために作ってみたものの財政難により工事も修復もままならない(2006年当時)が、この対岸の村の建物もまさにそれなのだ。
そして、北朝鮮の住民が見えた!
ずっと望遠鏡で北を観察し続けていると、
米粒ぐらいしか見えないが、なんと人々が歩いている姿が見えた。
しかし車などが走っている気配は全然ない。
自転車すら走っていない。
もちろん道も舗装されていないだろう。
文明的なものは何一つ感じられない。
100年前にタイムスリップした感じだ。
かたや韓国側に照準を向けると、
農村にしても明らかに整然とされた農地に、ちゃんとした建物が見える。しかもカラフルだ。
そして近代的な両側8車線の高速道路や高層団地群も遠くに見えて、南北間の貧富差は歴然としていた。
川を挟んだだけでここまでのギャップというのはおそらく世界一だろう。これははっきりいってアメリカとメキシコ、シンガポールとインドネシアの比ではない!
いうなれば川を挟んで100年前にタイムスリップ。もはや地球と宇宙惑星ぐらいの差と言ってもいい。
もともとは同じ民族が住む国なのに「成功」と「失敗」の格差は、もはや常識を超えていた。
人類の非情というものを知った。
国境ドライブ、終了
展望台を出ると、もうすぐ夕ぐれが近づいてきた。
レンタカーの返却のため、ソウルに早く戻らねば。
だけど!これまでずっと渋滞もなく快適だったせいもあって、ソウルへの道を甘く見てました。
展望台からソールに帰ったとき、ずっと大渋滞に巻き込まれてひどい目にあいました。
韓国の首都圏に人口が集中しているのだからしょうがないのだけど、詰め甘かった。
やっとソウル市内についたものの、首都高から中々下りることができない。しかも道もわかりにくい。
FMからは、K-POPのクリスマスソングが流れる。
長く続く車の列は、たしかにイルミネーションみたいで美しい。
だけど閉店までに車を返せなかったらどうしようという気分で交錯していた。
最近ソウルでもBMWやアプリリアなどの外国系ビッグバイクの代理店があっ て、ゴールドウィングが走ってるのを見かけた。だけどちょっとした高速道路になると二輪ダメだから、ある意味日本より悲惨かも。
こうして、展望台からはずっと車を降りずノンストップで帰ったものの、レンタル時間をオーバーしたけれど、なんとか穏便に返すことができてよかった。日本では味わえない満足のいくドライブができました!
3日間の合計走行距離 956km