今年2018年の漢字は「災」でしたが、私にとってレソトは災の国だった!
南アフリカの中の独立国・レソト。アフリカらしさを求めてやってきた、この国で待ち受けていたものは・・・
南ア側の国境。
昼過ぎにレソトに入国。ストリートビューでも見れない、国境の川の上。
ここが国境線。
思えば同じような国として、イタリアの中にサンマリノという独立国があったが、そこは国境門もなく、フリーパスだった。国を越えるというより、となりの町に行く感覚だったが、このレソトでは出入国手続きを行う。
南ア出国手続きはスタンプ押印のみ。
レソト入国は、入国用紙に書いて通行手数料(20レント・200円)を払い、入国。料金所感覚の入国だった
レソトは独自通貨を使っているが、スワジランド同様、南アのラントと等価のためここでも南アのラントがそのまま利用できる。
振り向くと、レソト側の国境門。
南アからレソトに入国した途端、がらりと変わり、まさにヨーロッパからアフリカに戻ったという感じだ
嗅ぎ煙草の看板が目に付く。
南アとガラッと変わるのが、道路わきに牛や羊などの動物が放牧してあること。
ところが、トランスカイとはまた違うことを後になって認識するのだった
四方を南アに囲まれた国だが、南アとはいまだに対立している。
黒人が主役の国の為、人の雰囲気が変わる。
南アの黒人はこちらに対して距離を置いていたのだが、レソトはみんながみんな気軽に話しかけてくる、というよりもおせっかいで馴れ馴れしいといったほうがいい。
雑然とした街並みは、まさにマラウイや東アフリカに似ている。南アにいながらアフリカ気分を味わいたいのなら入国してみるのもいいだろう。
町はマラウイのようにぼろっちい。それでもマラウイとかにくらべればインフラは整ってるのだろうが、スワジランドにくらべれば圧倒的に貧しい。
街中の食堂で、大盛のウガリとフライドチキン計(13レント)で昼食とする。
レソトまで来ると気温が低く、太陽光線が少ないのか、顔つきや髪の毛は黒人なのに、肌が褐色だったりする。黒檀のような東アフリカ人とは明らかに違う。北米に住む黒人のようだ。
恐怖のレソト
首都マセルを結ぶレソトの国道は、南アやスワジと違って狭く貧弱なものの、走行上特に問題はない。
しかし、意味もなく追いかけられたり付きまとわれたりで、恐ろしい目にあった。
マセルへの国道を走ってると、前から走ってきた車がすれ違った際、運転してる男はいきなり「そこに止まれ!」と言い出す。
パトカーでも何でもない車から、命令口調でいきなりそんなこと言うあたり、きっと強盗かもしれないので、無視した。
すると車は行き先を変え、追跡してくるではないか。
いきなり襲ってくるような気配ではないが、ずっと生きた心地がしない。
近くの町までやってきたので、ガソリンスタンドの前には人が多くいたので、人が多いなら安全だということで、話をつけるためそこで降りると
車を降りた男は、自分は警察官だと叫んで
「なぜ逃げた?」
という。
「そんなの当たり前だ!強盗だと思ったからだ!ならば警察官である証拠を見せろ!」と言うと
自称警察官は「よし、そこで待ってろ。部下を呼んでくる」と言った
15分ぐらいして、二人の部下を従えて戻ってきた
しかしその部下は、いかにもこんな頭のおかしい上司の命令によって、しょうがなく連れてこられたって感じで、覇気はない。
「なぜ逃げた?」
幸いだったのが、ちょうど多くの町の人が取り囲むように見ているため「自称警察官」も危害は加えないだろうと判断し、周りの人に身の潔白を示すのと、頭にきているので、あえて大声で抗議。途中言い合いになったものの、なんとか放免された。
いったいなんなんだ?こんなに訳の分からない目にあったのはアフリカでは初めてだが、本当に生きた心地がしなかった。
極度の緊張の為、すっかり疲れ切ってしまった。
一難去ってまた一難!!
すっかり疲れ果てて、首都マセルの宿に泊まった。
しかし、どういうわけか、ここでもとんでもない目にあったのだ。
警備員の一人から、執拗な嫌がらせを受けた。こっちがシャワーに入ってる時も罵声を浴びせたりカーテンを開けようとしたりする。
そのためまた大げんかになったのだが、今なお思い出したくないほどひどかった。
その宿は、スワジランドで泊まった時と同じようなミッション系の宿である。なのになぜこんなひどいめ目に合わなくてはならんのだ?
この警備員は、何もしてない宿泊客に侮蔑したり、罵声を浴びせるような、常識ではありえない狂人のため、普通だったら解雇するだろう?
この日だけで非常に不愉快で気味の悪い思いを二回もした。すっかり声がかれてしまったほどだ。
あまりにも日本の常識とかけ離れていて、精神的に疲れ果てて、21:40ごろには眠いので寝た。
崩壊国家の実態
その翌朝、宿の通りの道は、閑静な住宅街の道なのに、なにが渋滞しているのか、朝っぱらからエンジンの音がうるさいうえに、空ぶかしするせいで煙が流れてくる。朝から本当に原辰徳。
マセルは首都の体裁を保つべくか、さすがに近代的な街並みで、スワジランドの首都と似ているのだが・・
しかし街中に出ると、首都の大通りを、猛スピードで蛇行運転する車がいた。
なんなんだ、このあまりのモラルのなさは。
路地に行くと、道を塞ぐように勝手に駐車している。
それらを見てると、
この国は明らかに秩序が機能していない状態だった。
そんな国でも、マセルではやたら中国人が目に付いた。主に商店経営者だろうが、レソトには中国人が1000人以上いるらしい
自分もここまで不愉快な思いをさせられたのも、中国人に間違われているからだろうか?
2009年、マセルで売っていた携帯リスト
商品などの物価は南アやスワジランドと同じ。大手スーパーで買った弁当は150円、ほかにもサンドイッチは50円と南アよりも安い。
同じ黒人王国・スワジランドとレソトのちがい
レソトと、こないだ訪れたスワジランドは同じ小さな王国で、しかも首都ムババネと首都マセルは景色などがよく似ているのだが、スワジランドのほうが全体的に秩序があった。
スワジや南アの黒人の方が大人だ。このレソトにはくるった人間がいる。レソトは国家として崩壊してるのかもしれない。
スワジのほうは南アと友好的だが、レソトは南アと敵対しているように思える(南ア側からも、レソトは無い物にしているようだ)だから今でも独立している。
周辺国と違い、この国だけ南アのW杯をサポートしてなかった。歪んでいるのはそういう気質もあるかもしれない。
いずれにせよ、とっとと明日この国をでよう
当初はマセルでのんびりするつもりだったが、入国すると何もかもが最悪なので、二泊で切り上げる。
カラフルなワーゲンのビートル。レソトナンバーにFSナンバー(南ア・自由州)が混じる
レソト出国。南ア再入国。
はっきりいって、このレソトという国はどこかすさんでいる。アフリカの後進国の闇を見せつけられた。日本とはあまりに常識が違いすぎるため、こんな国爆発しろ!とすら思った。
何ひとついいことがなく、ろくなことがなかったレソトを脱出できて、妙にスッキリした。心からホッとした。
このままレソトにいると、次はどんな災難に合わされるかわかったもんじゃないからだ。
レソトの首都マセル側から見た、南アへの国境
南ア側から見た国境
南アは治安は悪いが、レソトにくらべればちゃんとした秩序がある感じがする。
ともあれこれからは野宿がつづき、寒さも厳しい。
いよいよ別の意味で大変な、最期のステージだ。