経済崩壊国家なのに、どこか景観が美しい。
そんなまたもや摩訶不思議な国、ジンバブエの旅です。
5/14
6時半起床。昨夜は終日停電だったので、19時には早速布団に入り、21時に眠りについたので、よく寝た。
気温16.5度、標高1020m。低地のモザンビークから高原のジンバブエに来たので、フリース着るほど寒い。
国境の町ムタレを出発。首都のハラーレまで300km。
日本とちがって交通量はほどんどないので、一日で充分到着できそうだ。
この国は独裁者「無我部」による白人追放政策のために、経済が崩壊した。
もちろん、もともとの原因は、黒人を利用し支配してきた白人層なのだが、その後のジンバブエ独立で、反動があまりに大きかっただけに、修正するのはやはり難しい。
ジンバブエはレトロな国だった
9時ごろ、ムタレを出発。
ジンバブエを走っていると、なんというのだろう。時代が止まったような不思議な印象すらある。
高原の街道の風景は、60年代のイギリスの田舎のような雰囲気だろうか。
ビートルズの曲が聞こえるような、過去の栄光で古びれた中にも、どこか品がある感じがする。
踏切の100m手前ぐらいに
「注意・この先、遮断機あり!」
という看板があるので、踏切の端に止まってみた結果・・・
「遮断機と踏切は作動しません」
と書かれており、思わず笑ってしまったぞい。
いや、笑ってはいけない。これが経済崩壊国家のジンバブエの現実だ。遮断機もないのに一時停止もないし。それとも列車が運行されなくなったのか。
懸念だったガソリンスタンドは、ディーゼルのみだったり、逆にガソリンのみの在庫だったり、両方あったりとだが、スタンドは随所にあるので、問題なし!
RUSAPE TOWN COUNCIL の紋章。マンガっぽいシュールでヘタウマぶりがカワイイ。
それでも首都にちかずくと、人や建物が多くなり、南アのような、アフリカらしい活況ぶりになってきた
途中、町のカフェテリアで昼食。
メニューは、ハイパーインフレだったため、もはや値段の書きようがない。
サザビーフ(ウガリとビーフシチュウ)1ドル
サザビーフは、南アやボツワナのパパンビーフと同じく、ジンバブエ流の定食で、どこの食堂でもこれしかなかったりするぐらいワンパターンだが、あたりはずれがなく旨い!ちっとも食べ飽きない。
それだけでは足りないので(育ち盛りの中学生か!?)ポークパイ、2つで1ドル。とりわけジンバブエは、ほかの周辺国よりもイギリスの食文化が息づいている。
もちろんこの国では「お釣り」がないので、一つだけ欲しくても二つ買わざるをえない。この国は国中100円ショップならぬ1ドルショップである。
2つ買ったので、あったかいうちにその場で2つ食べる。肉まん風でうまい。我ながらアホみたいに食べまくる。アフリカではたくさん食わんといけん。さもなくばアフリカに食われてしまう。
オーストラリアのデビルズマーブルのような奇岩が見えてきた。
ジンバブエの首都ハラレまであと16kmというところで高層ビル群がかすかに見えてきた。ハラレに到着すると、思った以上の近代都市だった
てっきりジンバブエは北斗の拳のようなカオスな国、あるいは北朝のような死んだ国だと思っていたので、あまりの普通ぶりに、あっけにとられる。
正直言って、マスコミの報道と、実際の目で見るのは訳がちがいましたね。
連立政権になって、最近になってインフレが止まらずクズのようなジンバブエドルを廃止、米ドルと南アフリカの通貨ラントがジンバブエの通貨になってしまったのを入国時に知ったほど。経済がどん底から戻り、物資が再び増えたのもそのためであろうか。
スーパーや商店での買い物は米ドル。
ところで、100兆ドルを出していたジンバブエでは、どんな風に買い物をしていたのか。
それは、2009年では、USドル払いに、南アのラントだった。
ムタレやハラレでは、USドル払いなのでアメリカみたいだ。あるいはパナマか、エクアドルか、復帰前の沖縄か。
中小の商店だと、下記のように商品によってそれぞれ3ドル、15ドル、20ドル、6ドル、8ドル・・・と値段が付けられている。
中古車屋だと、ぼろい日本車やワーゲンだと2000とか3000、程度のいい日本車だと6500ドルと売られていた。
大手スーパーだと、基本はドル払いで、1ドル以下のお釣りは南アのラントで返ってくる。1ラントは10セントで計算する。
例:3ドル50セントなら3ドルと5ラント硬貨、または1ドル札と20ラント札と5ラント硬貨。
紙幣やコインも輸入してるのでお釣りも不足し、スーパーのレジは混雑する。
ちょっとしたお菓子などは2つで一ドル、などキリがよくなっている。いわば百均ならぬ1ドルショップ。
1ドル札が不足しているため、
「3,4番のレジはお釣りが出せませんので、正確な金額でお支払いください」と書いてあった。
レジの前には、ドルの他に、南アのラント、ボツワナのプーラ、の換算表も見かけた。
2018年追記:
そういえば振り返ってみると、ジンバブエはあれだけの経済危機を被ったのにかかわらず、汚い落書きや荒れ放題の廃墟といった、没落国家や後進国特有の荒れた景観があまりないことに気づく。
時の政権がそういう行為をきびしく罰したというのもあるかもしれないが、ジンバブエ国民の美意識もあってか、景観を保ってるのは本当に立派である。おかげで(いまさらながら)ジンバブエの好感度が上がった!