カンボジアの国境はビザの取得が思った以上に大変。でも旅のスペシャリストの意地をかけてワイロを払うことなく入国成功。その手口を紹介。
とはいえ、カオサンからカンボジアに行く場合は、ジョイントチケット方式なので、現地のバスのスタッフがビザ作成など一切合切見てくれるので、トラブルだらけの役人とのやりとり不要です。
しかしその分高いビザ取得代と、カンボジア入国時にうんざりするほど待たされたのがきつかったけど。
今回のようにローカルミニバスを乗り継いで国境の町・ハートレックから自力でビザを取得してカンボジアに入国する場合は、以下のフローとなりますので参考ください。
タイ ハートレックより出国
ハートレックのバス停から200mほどに国境門がある。
メーサイのような国境特有のフレーバーがなつかしい。なお、入り口が目立たないのでほとんどの人は気づかないかもしれないが、イミグレ直前のすぐのところに横丁のような商店街に入ると、
やがて海に突き抜ける。
しかも途中には、かなまら神社で見たことのある「かなまらシーソー」を発見。まるでRPGっぽい展開。
そのあと、イミグレーションにて出国手続き。無事期間内に到着できたので、手続きはあっけなくおしまい。ビザの切れる同日に出国成功
国境中立地帯
そして、ノー・マン・ランドと呼ばれる国境地帯を歩いてカンボジアに入国する。両国の旗のある国境地点・チャムヤム
国境地点からタイ方向を見る
国境地点からカンボジア方向を見る
ミャンマーでもそうだったけど、なぜか物乞いがいる。無国籍状態のほうが都合がよいからだろうか
悪名高きカンボジア入国
入国時にビザがない人は、ビザ作成のため担当室に行き、「出入国カード」と「ビザの申請用紙」をもらう。
なお、「手続きを手伝ってやるよ」とイミグレに巣くうチンピラみたいな男がいるが、役人と結託したハイエナなので、完全に無視するに限る。
その無礼なうっとうしさゆえに、さすがの私も、微笑みの国タイでは見せなかった「お怒りモード」になっていく。
両方の用紙に記入しビザ担当室に提出すると、
「写真は?」といわれる。
でも、他の人の申請用紙を見たら、貼ってない人のも少なくない
そこをすばやく指摘すると、
「写真がないならかまわないけど、そのかわり、100バーツ払うことになる」
といわれたので、あきらかにワイロは払いたくない。とはいえ日本で証明写真を撮ると高いので、100バーツのほうが安上がりという見方もあるが。
そういえば昔ジョイントチケットでカオサンからカンボジアに入国した時は、バス会社が全員のビザを一括申請処理するため、写真は不要だった気がする。
「なんとかなりませんかね?」と尋ねると
「外で待っててください」と言われて外に待つ
かなり待たされて、再度入室すると、ボス格の役人がやってきた。
おそらく役人は、この日本人は一筋縄にはいかぬと、ボス格を呼んだのだろう
ボス格は一言
「写真がなければビザは発給できん。写真を撮ってこい」
最後にカンボに入国したのが5年前だったので、カンボジアビザに写真が必要だったかどうかというのはもう忘れていたのは不覚だった
写真は必要。ビザ写真を撮りに行く
しょうがないのでどこか近くに写真を撮れるところはないかというと、向こうにいたまじめそうなおじさんが「この辺にはないので、私のバイクで連れてってやろう」というので
「往復で1ドルでいいか」と念を押して出発。
坂を越えたところに小さな町cham yeamがあり、市場や商店が並んでいる。その一角に写真屋があった。
最初4ドルといわれたが、高すぎる、1枚で十分と言ったら、2ドルにしてくれた
店のねえちゃんは、ニコンの一眼レフで撮影し、Word2010を使って画像をトリミングして4枚にプリントアウトした。ワードを使うという手があったか。
プリント写真をみると、ねえちゃんは「顔がスマイルじゃないね」といわれたけど、
「あそこの役人はひどいよ。全然スマイルになれない。アングリーだ」と愚痴をいっておく。
ビザ担当室にもどる。おじさんは時間がかかったからさらに2ドルくれと言われたものの、1ドルとチップ代わりに10バーツコインをあげて、かんべんしてもらう。
怪しい証明書
こうして写真は整ったものの、戻るとにくたらしいボス格は
「37ドル払え」と言い出す。
「あの、30ドルでいいて言われたんだけど」
「いや、ここに書いてある通り、37ドル払いなさい」
といって、ラミネートされたリストを差し出した
そこには
何月何日からビザ代の運用が変わりました
Visa US30 + Processing Fee US7 払うことになります
などと日付と署名入りで書いてあるが、そもそも手数料が必要な話はぜんぜん聞いたことがないし、カラーコピーをラミネートして、しかも全体的に印字がにじんでるあたりが、いかにも「自分たちで勝手に作り上げました」感がして、ウソくさいのである。
とはいえ、前回のミャンマーのようにはすんなりといきそうもない。
まじまじと隅から隅まで時間をかけて見つめた後、
やはり納得いかないので
「じゃあ、このリストを撮っていいか?」といったら、ボス格は激昂して
「タイに帰れ!!」と怒り出した。
(やべえ、怒りだした。こりゃおとなしく払ったほうがいいのかな)とさすがに静かに財布をまさぐりだすと
ボス格はなぜか
「サーティーダラー!(もういい!30ドルでいい!)」
と言い出した。
勝利に導くために
その瞬間、勝利のスマイルとなったたびいちに対し、役人らはというとワイロをゲットできなかったくやしさゆえか、役人らはとてつもなくいらいらしながらビザを作成し、パスポートに貼り付けた。
結果、最後に笑ったのは、たびいちであった。
もっとスマートにするために
「恐縮ですが、このリストが本物かどうか、本当にProcession Feeが必要になったのか各機関に照合したいので、あなたのお名前、仰っていただけますか?」
ともっと痛いところ突いて論破してやればよかったかな?
でも、結果的には勝ったわけだし、我ながらよくここまでやったなと思う。
ほとんどの入国者(西洋人なども含め)は、ここまで抵抗する人はまずいない。とっととワイロ込みの37ドルを払って入国する。そのほうがすぐに入国できて無駄に時間を費やすことがない。だけど私としては、こんなふうに権力を傘に私腹を肥やされるのはいやなのだ。超低賃金で重労働をしているカンボジアの人に対して失礼でもある。
ビザ担当の役人はたとえゴミのように腐っていても、だからといって「タイに帰れ!」と言われた時にムキになって、自分の義憤を持ち出して売り買い言葉でけんかになって本当にビザがもらえないとなると大変なことになるし、結果的にはあなたの負けになるだけ。
なので、係官の威厳を損ねないようにしつつ、ゲームや試合だと思ってのらりくらりと柔軟に戦う。
逆切れして「腐れ役人め!きさまの名前を教えろ!」などと叫ぶと相手も反発するし、向こうのほうが圧倒的に「権力」というものがあるので、いくら日の丸パスポートを持ってようが、対峙したら明らかにこっちが不利になるだけだ。
しかし、「照合したいのですが・・・」と穏やかに痛いところを突けば、うまくいったりする。
なんたって自分はこれまで中南米やアフリカの発展途上国でたたかい続け、もみくちゃにきたえられた男だ。結果的にはその経験でいつの間にか勝ってしまった。
ビザをゲットしたら、入国手続きのブースへ。指紋を電子的に読み取られる際に、微妙にしびれるのが印象。
こうして入国印が押され、長い手続きが終わったのである。
海を見ると、夕やけがきれいだった。
思えばこの4月29日は本当に長い一日だった。でも今日はまだまだ終わらないのである。
ビザの種類について
国境でも1年マルチビザが取れるらしい。
私がとったのは1か月のツーリストシングルビザだが、日本人なら1年などのマルチプルのツーリストやビジネスビザが国境でとれるらしい
かといって、一回の滞在期限が30日なので、それを過ぎたらその都度隣国にビザランする必要があるので、カンボジアに戻るのは手間がかかる。
ビザ延長タイプ
旅行者なら上記のタイプで十分かもしれないが、カンボジアに住みたいという人は、値段は張るけど、隣国に行き来する手間のかからない延長タイプがいいと思う。
いわばロングステイタイプのビザ。あるいはビジネスしてる人向け。
その手続きはビザ業者や外国人向けスーパーなどでできたりする
なお私の場合は、タイとちがってカンボジアはいろいろとキツイ国なので、シングルの一か月あれば十分、おなか一杯。当分何年かはカンボに行かなくていいや、て感じです
PS:
てっきり写真を持ってこなかったもんだと思って、現地で写真を作るはめになったのだが、あとになってもしやと思いファイルを開けてみると、ちゃんと自分のビザ用写真が持ってあったではないか!
なんという大歩危!その時の己の愚かさとくやししさと言ったらない。
しかし写真屋とおっちゃんの生活を安定させることができた(?)し、ワードでもトリミングができるという方法も発見できし、小さな町チャムヤムによることもできたので、それからの旅が違ってたものになってたと思う。