海外ツーリング研究家の、たびいち(アフロあきら)です。
先日、BMWの大型バイクで世界一周したカップルの上映会に行きました
NORA Rider
いろんな人が世界ツーリングをする話が多い中で、
なにより強烈に惹きつけられたのは、この一言。
相方のナメさんに殺意を覚えながらも日々二人で前に進んでゆくのです。
こわっっっ!!
だけど、彼女をそこまで追い詰めたのは、一体なんなのか。
そうなると、逆に知りたくなるじゃないですか。
それにしても、英語も話せず、いきなりタンデム(二人乗り)で勢いだけで世界に飛び出すなんて、
あまりにもチャレンジャーすぎる!と思いました
さすがの私でも、2000年に世界一周する前は、英語はもちろんのこと、スペイン語もNHK教育のスペイン語講座で少なからずや勉強しましたよ。
(あのグレートザサスケもメキシコに行く前にNHKスペ語講座で勉強したらしい)
https://tabi1.com/around-the-world
なめさんは言葉がわからないのに、どうやって意思疎通したのかというと、最近ではどこの国の人もスマホを持ってて、Google翻訳で意思疎通したそうだ
自分の頃なんか、そんな便利なものなんてなく、高校時代に使った分厚い英語辞書をもってったというのに・・・・
2000年世界一周の持ち物
そもそも、バイクでタンデムで世界を旅する自体が、ストレスフルだ。
(そのてん、おのおのが一人一台ずつ乗ってればまだよかった)
タンデムの旅も、3日とか1週間ぐらいだったら良いけど、
何ヶ月もとなると、そのうち絶対苦痛になる。
なぜかというと、雨が降れば体の底から全て濡れるわけだし、対向車などから泥水とかかぶるわけだし、
ライダー(なめさん)側は、自分の意思で休憩したりトイレいけたりするので、まだ良いが、後ろのパッセンジャー(あゆみさん)側は、中々むずかしい。
そのうえライダー側も、一人の時とちがって、荷物だけでなくパッセンジャーも安全に走らせなければならないので、その分走行時のバランス取り、コーナリング、ブレーキングにも気をつけなくてはならないので、すごく神経すり減らすわけだ。
後ろのパッセンジャー側も、雨やら泥やら虫やら跳ね上げる小石だの浴びて、しかもエコノミークラスのように狭いシートで動けず、かといって寝たりしようものなら振り落とされる危険もあるので、ものすごいストレスになる。
双方ともかなりのストレスの連鎖になるので、こりゃあさついをおぼえるのもしょうがないわ(笑)
会場に行く
・・・と、そんな思いをいだきつつ、調布に行き、上映会を観にいった。
会場は、「たづくり文化会館」という、佃煮のような名前の文化会館だった
私が2000年に世界一周したときは、撮影機材と言えば、35mmのコンパクトカメラと、録音できるテープレコーダーだけという、超アナログだった。
当然、なめさんらの場合は、デジカメやらPCやらナビやら、いろいろ持ってきている。
やはりスライド上映とちがって、動画ドキュメンタリーになるとその場の臨場感がつたわってくる。
人々の表情の動きや、雑踏やホーン、息吹、生活音など。
ただ実に惜しいのは、手元で撮る動画の宿命ゆえに、随時画面がブレたり急転回したりするので、船酔い、車酔いのようになってしまい、気持ち悪かった。
あゆみさんが旅のストレスで過呼吸や、もがいてるシーンがあったが、あの時は自分も一緒にもがきたいぐらい、吐きそうになってとても苦しかった。
妙なところで、あゆみさんの辛さを追体験できてしまった(笑)
いちばんのハイライトは、なめさんとあゆみさんとの間柄。
愛と夢の世界一周!とかいうキレイゴトだけで終わらせず、ブラックな面も、ゴロゴロとでてくるでてくる。
あゆみさんの、なめさんに対する扱いは、笑っちゃうぐらいにヒドイ!
「愛なんてとっくに醒めた」
「(なめさんの)声を聞くだけでもイヤ」そしてケンカが絶えず、毎日のように「コロス」と言ったり。
コロ・スキン?
コロス!キン!
世界一周。
それは夢と感動もある反面、苦痛や不安、ストレスを伴なう、とてもつらい旅。
ゆえに帰国後は、「世界一周のことは思い出したくも無い」ということで、お互い半年ほど会わなかったと言う。
しかしほとぼりがさめると、再びやりとりするようになり、映像化に乗り出すことになった
激しく同感。
というのも、自分が125ccでアフリカを旅したときは、やはり思った以上に旅がつらくて、人間不信になるぐらいの嫌な事も多かった。
アフリカの旅は、楽しいことが1割ぐらいで、あとの残りの9割は不快だったりイヤな事ばかりで、とくに非常に後味の悪い思いをしたことも多く、そのため私も帰国後しばらくはアフリカの旅を思い出したくも無かった。
しかし、時が経ち、たびいちドットコムを立ち上げるようになり、非常に後味の悪い思いをしたキリマンジャロの登山も、写真を思う存分載せる事にした。
どんなにいやな思い出だからといって、貴重な経験を自分の心の中に閉じ込めては、あまりにもったいない。経験を世に伝えなくてはならない。
印象的なシーン
映像ならではの印象的なシーン。
それは、あゆみさんがストレスでふてくされまくってるのに、なめさんがあゆみさんの髪をねこのように優しく撫でてるのを見たとき、
「やっぱりなめさんは、あゆみちゃんのことが本当に大好きなんだなあ、かわいくてかわいくてしょうがないんだなあ」
というのが読み取れた。
これはもう、男の直感でわかった。
相手に対する思い。
こういうのって、講演やスライドショーではなく、修正のきかない「映像」だからこそ伝わるんだよね!
そして、個人的に強く印象に残ったのは、ボリビアで最後に二人でバイクを押すシーン。
実は私も、世界一周のときに、やはり同じように度重なるメカトラブルがつづき、アメリカのキーウェストで同じように完全に壊れてしまい、同じように精根尽き果て、同じように資金も底を付き、同じように押して歩いていた。
あのときの、突如ドラマが終わる無念。
その反面、
これで辛い辛い旅が終わった!これからはもう楽になれる!という歓喜の裏腹。
いろんな思いが激しく交錯した、あの、押し歩き。
それをみて、自分の時と見事に重なってしまった。
そして沁みた言葉が
「どんなモノでも、そしてバイクでも、いつかは別れる時が、必ず来る」
映像によって、あのときの私の15年前の世界一周が、脳の奥の記録から、甦った。
動画酔いして吐きそうになるのは辛いけど、もう一度また見たい!と思いました
そして9年後はこうなった
続編書きましたのでご覧ください